やることなすことが全て裏目。
世間を知らない若い二人が持っているのは、若さと溢れんばかりの希望だけ。
ただ・・・
大人たちの欲望が渦巻くこの街で生きてゆくには、二人はあまりにも稚すぎた。
日ごとにすり減ってゆく心と若い体。
誰か…二人を助けて！
『サクラ色の傷痕』
4巻の解説と感想です♪
果乃と蓮の逃避行が、その後にどんなドラマを生むことになったのか？
そして…
あのバス事故で果乃と離れ離れになってしまった妹・莉乃の行方は？
「どこまでも試練が続く果乃には、一体どんな未来が待ち受けているのだろうか？」
4巻の見どころ
心無い大人たちに潰されてゆく若者たちを見てるのがスゴく辛い（汗）
今回リリースされた4巻は、まさにそんな切ない内容でした。
「なんか…全編に渡って辛かった！」
行き場のないまだ未熟な二人がたどり着いたのは、夢も希望もない乾いた冷たい街だった。
さて…
今回4巻の見どころは、
まだ未成年ながら、なんとか二人で自立した生活を送ろうと七転八倒する果乃と蓮の危なっかしい様子と、
バス事故で、果乃と離れ離れになってしまった莉乃のその後の様子です。
まったく別の人生を歩み出した果乃と莉乃。
この姉妹は、先の未来で再び相まみえることができるのだろうか？
どこまでいっても辛い人生が待ちうけている果乃。
たとえ肉親からのいじめと虐待の日々から逃れようとも、
彼女の前にはもう一つの大きな敵である世間という”魔物”が立ちはだかっている！
ある意味、虐待する親や祖母よりも恐ろしいその”世間”というものに、
「彼女は身も心もボロボロにされてしまうのだろうか？」
ページをめくるごとに切なさと苦しさがこみ上げそうになるストーリーは、
別の角度から見れば、大いに盛り上がりを見せています。
ただ…作者様。
どうか果乃と莉乃には笑顔あふれる幸せな結末をお与え下さいませ…
3巻の解説と感想はコチラ♪
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サクラ色の傷痕【ネタバレ4巻】未熟な二人を襲う世間の冷たい風！
逃避行
蓮と果乃の”逃避行”のその後が描かれてゆきます。
二人は各駅電車を乗り継いで、なるべく住んでいた場所から遠くの町でアパートを借りました。
保証人がいない二人は不動産屋から法外な礼金を要求されるが、
何の知識もない二人は、紹介されたその狭いアパートの部屋をしかたなく借りるのです。
そして…
若すぎる二人の新しい生活が、この狭いアパートの一室からスタートした。
問題だらけの船出だ。
しかも…
その翌日からお互いに仕事を始めるも、すぐに蓮の方は挫折してしまう。
二人のおママゴトのような暮らしに、早くも暗雲が立ち込め始めた。
そんな中、蓮が果乃に促されて、なぜ、あの町から彼女を連れて逃げてきたのかを語り始めた。
彼は、少年院にいた頃にイジメを受けていた男と再びあの町で再会してしまったのだ。
おまけに果乃と一緒にいるところまで見られてしまい、
果乃をレイプしない代わりに強盗をしてこいと脅迫されたのです。
果乃の名前が出たことで、蓮は逆上してその男を叩きのめしてしまい、
男は蓮に頭を壁に打ち付けられた衝撃で頭から血を流して倒れてしまったのだ。
怖くなった蓮は、その場から立ち去り、そのまま果乃を連れて今住んでいる町まで逃げてきたのである。
全ての真相を知り、そして果乃は蓮を許しました。
ただ…
その後、蓮は次の就職場所をなかなか見つけられず、
一発逆転を狙って”ギャンブル”にのめり込んでしまうのです（汗）
一方その頃、妹の莉乃は、あのバス事故の日から水沢という女性に娘として育てられ、
今や小学校3年生にまで成長していました。
状況は、誘拐犯である水沢を助けていました。
なんと…
莉乃は、あのバス事故のショックで、事故後の記憶を失っていたのです！
そのために、自分に姉がいることを知らずにスクスクと成長した莉乃でしたが、
ある日、水沢家のあるアルバムの写真を見て大きなショックを受けるのです！
傷痕
事あるごとにバス事故の夢にうなされている果乃。
一方、漣はというと、
果乃のためになんとか妹の莉乃を見つけ出そうと焦って、
一攫千金をねらった蓮のギャンブル依存に陥ってしまった。
「私のために・・・」
「ありがとう…」
行動こそ間違ってはいるものの、蓮からの深い愛情を感じた果乃はその日、蓮にすべてを捧げた。
生まれたままの姿のなった二人の体には、
過去に虐待されていた頃についた生々しい無数の”傷痕”が残っている。
お互いのキズをなめ合うように、二人は初めてお互いの体を一つにしたのです。
その後…二人の絆は体を重ねたことでより強くなったが、
蓮のギャンブルでの散財で、かなり二人の貯金が底をつき、
アパートの家賃さえ払えないピンチに追い込まれます。
果乃がパン屋でバイトする収入だけじゃ立ちゆかなくなってきたのです。
そんなタイミングで、悪魔が果乃に囁やいてくる！
ある日のバイト帰りに、果乃はキャバクラのスカウトに声をかけられてしまうのだ。
キャバクラという店の意味も分からない果乃は、
男の人と話をするだけでお金が手に入ると聞いて、スカウトの男について行ってしまった（汗）
そしてなんと…
訳の分からないうちにそのまま彼女は”体験入店”すことになってしまったのだ。
結果、虐待された過去のトラウマも重なって、
いやらしく触ってくるオヤジたちに拒否反応を示してしまい、
まったくうまく接客ができずに苦痛な時間を過ごすことになるのですが、
15歳という実年齢の果乃は、あまりの幼さゆえ、店では人気者のキャバ嬢となってしまう！
｛やっぱりこんな仕事できない｝
その日は、体を触ってくるいやらしい客を突き飛ばして、そのまま店を飛び出して家に帰った果乃だったが、
いざ、家に帰ると無職で仕事をさがしている蓮が待っていたのです。
蓮としては自分の仕事が見つかるまで、なんとか果乃にキャバクラで勤めて欲しいという気持ちがあった。
そんな蓮の秘めたる思いを悟った果乃は、
歯を食いしばって再びキャバクラ店へと戻っていくのです。
ただ…
店に舞い戻った早々、果乃はモデル事務所の社長・財前に見初められ、
今度はモデルとしてスカウトされるという展開に！
短期間のうちに”新天地”がコロコロと変わる果乃の挑戦が続く・・・
研究生
モデル事務所を経営する財前のもとで”研究生”として働くことが決まった果乃。
財前の事務所には、果乃と同じような年代の少女たちが、
明日の人気モデルを目指して厳しいレッスンに明け暮れていました。
果乃も今日からこの仲間たちと同じようにレッスンを受けることとなった。
初めてのウォーキングレッスンでは、まったく皆についてゆけず、果乃だけが別メニューでの練習をすることに。
ただ…
まだデビューもしてない研究生の果乃に、レッスンの終了後には、
１万円という高額な報酬が手渡されていました。
まったく働いた感覚がなかった果乃にとって、財前の好意はスゴくありがたかった！
財前は果乃にとってとても厳しいコーチでもあったが、
その反面、果乃がモデルとして頑張れるよう、
知り合いの探偵に莉乃を探してもらう手配までしてくれたり、
激しいレッスンでくじけそうな果乃を何気なくフォローもしてくれました。
過去に、大人から親切にされた経験がない果乃は、
日を追うごとに財前へ絶大だ信頼を寄せるようになってゆくのです。
でも…
そんな中で一つだけ果乃は財前に嘘をついていることがあった。
それは・・・
一緒に同棲している蓮の存在だ。
人気モデルに恋愛はご法度。
モデル事務所の研究生たちは、財前から厳しくいつも釘を刺されていたのです。
それは果乃にとっても同じことである。
しかし…
手放しでモデル事務所に入れたことを喜んで応援してくれた蓮に、とても「別れてくれ」とは言えない（汗）
自分を救おうとしてくれてる財前と、自分を愛してくれている蓮とのはざまで苦悩する果乃・・・
だが…
彼女の信頼する財前には、もう一つ”恐ろしい別の顔”があったことを、
この時の果乃はまだ何も知らなかった・・・
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4巻の感想
「読んでても辛いことばっかりの4巻でした～」
15歳の少女ができる精一杯の努力を、欲望にまみれた大人たちが自分の私利私欲のために利用する。
なんとも見ていて痛々しいエピソードばかりが続くんです。
しかも…
果乃が信頼するたった一人の味方、蓮も、その弱さゆえに彼女の人生をメチャメチャに壊しそうな勢いである（汗）
ひたむきで純粋な果乃ゆえに、蓮の未熟でワガママな行動が残念でしょうがない。
恐らく果乃に救いの手を差し伸べた財前は、ロリコンでDV癖のあるド変態野郎”なんだろう！
そんな男が運営する怪しげなモデル事務所に通わせ続ける無知で無能なヒモ男の 蓮。
ただ…
彼が進んでヒモ生活を送っていないことが余計に果乃を苦しめてるわけで、
単なるだらしないクズ男なら、果乃もさすがに蓮のもとを去ってゆけるのだろうけど、
「そこがどにもむず痒い！」
今はとにかく一刻も早く、蓮が果乃の置かれている危険な状態に気づいてやるべきなんだ。
でも…
自分のことさえ満足にできていない蓮にそんな甲斐性なんてあるわけがない。
この先に果乃がたどるであろう道のりを考えるとホント胸が痛んでしょうがないです。
そして…
一方、妹の莉乃はというと、とんでもないことになってました！
コチラはこれからどう展開してゆくのか全く予測不可能な状況だ。
事故の影響で過去の記憶を失っている莉乃が、その記憶を取り戻せば、
とりあえず偽りの親子関係はジ・エンドとなるわけだ。
でも…
かと言ってまだ幼い小学生の莉乃に何ができるわけでもない。
水沢という女は、厳密にいうと幼女誘拐半なわけですが、莉乃にとっては救世主でもあるわけです。
ある意味、莉乃にまつわる話は、ヒット映画の『八日目の蝉』みたいなストーリーが隠されている。
莉乃が水沢を母親として慕っているだけに、このさき厄介なことになりそうだ。
どっちにしろ、果乃も莉乃も、目が離せない状況になってきたことに違いはない！
辛いエピソードばっかりで、読んでてホント胸が痛いんだけど、
いつか果乃と莉乃の二人に幸せがやってくることを信じて、このまま読み続けてゆこう…
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