著者：小嶋すみれ
『29歳の不・純愛 ～あなたが恋しいだけだった～ 』
10話の解説と感想です♪
なんと綺代に妊娠の兆候が表れた！
子供好きな光博としては喜びを隠せない様子だが、
綺代はどうしても彼が買ってきてくれた妊娠検査薬を試す気になれなかった。
だからといって彼の子供が欲しくないわけではない。
でも…綺代のはどうしても頭によぎるものがありました。
自分が光博との子供を産んで育ててゆくその不安過ぎる未来の光景を・・・
｛自分に母親なんてできるの…？｝
今回は綺代の子供ことに関する本音の自問自答が描かれています。
「神様はちゃんと揺れ動いていた綺代の気持ちに区切りをつけてくれたのか…？」
9話の解説と感想はコチラです♪
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29歳の不・純愛【ネタバレ10話】私に子供なんてムリだ！
私に子供なんてムリだ！
綺代に妊娠の兆候が表れたことで光博はいつになく色めき立っている。
子供好きな彼にとって綺代との子供は願ってもない吉報なわけです。
しかし…
そんな光博のはしゃぎっぷりとは真逆に綺代の心はとても複雑だった（汗）
夫が執拗に買ってきた妊娠検査薬の使用を勧めて来てもなんだかんだとはぐらかしているのは、
まだ自分が母親になるという現実を受け入れていないからだ。
そんな拒否反応ともとれる反応は綺代の生い立ちに起因する。
父親はめったに家に帰らない仕事をしていて、ずっと折り合いの悪い母との暮らしに心をすり減らしてきた過去。
家族の愛も温かさも全く知らない自分に母親の役目など務まるのだろうか？
｛私に子供なんてムリだ！｝
想像すればするほど子供を育てるという自分の未来にまったく希望が見いだせない綺代。
なのに…
現実は綺代に母親になれと言ってきた。
陽性の反応
この日、光博には黙って彼が買ってきてくれた妊娠検査薬を使った綺代は、
”陽性の反応”が出たことで自分の運命にある種の覚悟を持った。
今の綺代には自分との子供を心待ちにしてくれている優しい夫がいる。
この人がいるから自分の母みたいな母親にはならない。
妊娠テストの結果が”陽性”だったことをいつ彼に伝えようか…？
きっと光博は二人の間にできた子供の誕生に大喜びしてくれるだろう。
そうなると元嫁家族はそっちのけで生まれてきた子供のことを溺愛するかもしれない。
もしかすると元嫁家族にもまったく会わなくなる可能性もある。
その状態は綺代にとって願ってもないことなのですが、
同時に彼女はどうしようもない元嫁に育てられているまだ幼い息子の未来についても考えた。
今でもむちゃくちゃな育てられ方をされて情緒が不安定なあの幼い光博の息子。
もしも綺代との間に子供が生まれた場合、光博が今まで通りに息子と会わなくなっえつぃまったら・・・
綺代の中でまったく別の感情が頭の中を駆け巡りました。
そしてこのあと…神様は揺れ動く綺代の気持ちに終止符を打ちました。
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10話の感想
綺代は自分でで悪女ぶっているかもしれないけど、
なかなか常識観念や道徳心の高い人物だったのかもしれません。
今回のエピソードを見る限り、他人の旦那を寝取ろうとした過去があるとは思えない理性的な女性です。
自分が母親という立場に適していないという自己分析をちゃんと行っているし、
過去の生い立ちから自分に母親としての資質に欠ける部分をしっかり見極めています。
人はなかなか冷静に自分のことを客観的に見れません。
「大した女性だと思います。」
今の状況を考えると綺代にもし子供が生まれたとして、
対元嫁の家族に対して綺代は対等な気持ちになれると思います。
どちらにも子供がいるわけですから。
現在の妻が綺代である時点で圧倒的に有利な立場を得るわけです。
ましてや綺代との子供を強く望んでいる様子だった光博ならは、
きっと今後は元嫁と息子に依存されたとしてもそこまで深く関わることはなくなるでしょう。
そのことも理解してる上で綺代は自分が妊娠することを望んでいなかったのです。
「母親になる自信がないから！」
それは安易に子供の存在を夫の奪い合いの武器に使わないということだ。
きっと彼女の心根はやさしい人間なのでしょう。
これまでに歩んできた綺代の人生が彼女の人格を少し歪めてしまったのです。
綺代の人格形成において母親との関係が深く関わっていることが伺えます。
「きっとたくさん辛い思いをしたんだろうな…」
子供のことでいろいろ悩んで考えた末に綺代が出した答えが、
「子供は無理だ！」という結論でした。
なのに…
実際のところ綺代が妊娠検査薬で陽性反応を確認した時の反応が妙にリアルでした。
自分には世間一般で言われている母親という存在になる自信がない（汗）
それでも妻の妊娠を心待ちにしている夫の様子を見てるとなんだか胸がソワソワする。
本音の部分では女性としての幸せを嚙み締めているのです。
だけど…それと同時に離れて暮らしている光博の息子のことも頭によぎる。
未熟でバカな母親に育てられている光博の息子。
だから今の時点であの息子は心を病んでいるのか明らかに情緒がおかしい！
きっとあの母親に育てられているせいだ。
もし…綺代に子供が生まれたことで光博が元嫁との間にできた息子と疎遠にでもなったら…？
もし…綺代との間にできた子供ばかりに愛情を注ぐようになったら…？
意図せずして綺代は自分と同じような愛されない子供を作ってしまうことになる。
綺代の思い描く未来の光景は実に切なくて自己犠牲的だ。
今回のエピソードを踏まえて彼女から”悪女”という印象がどこかへ吹き飛んだ。
さながら傷だらけの”聖女”という印象を持ってしまいました。
今回はすごく綺代の考えや行動に共感しまくりのお話だったな～
今の綺代には応援したくなるカッコいい女のオーラがバンバン出ています！
「切ないけど色々と素敵だった。」
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