著者：ちづはるか
『この雪原で君が笑っていられるように』
1話の解説と感想です♪
雪深い地方の山間に暮らす主人公の白鹿 むくは、今にも心が折れそうになっていた。
それは…愛するがゆえに逃れることのできないヤングケアラーな状況に陥っていたからに他ならない（汗）
幼い頃に父親が亡くなり、その後は祖父母の家で母と妹とムクが生活していたが、
ムクが中学生になった時に祖父が認知症を患い要介護者となった（汗）
それからというもの、ムクは21歳になった現在至るまで、
仕事と介護に追われる日々が続いているのです。
確かに父親を失って路頭に迷っていた家族を招き入れてくれた祖父母にはすごく感謝している。
でも…
｛私にだって自分の人生がある！｝
自らの将来と祖父の介護の狭間でもがき苦しむムクは心の中でいつもこう叫んでいた！
｛もう…私を解放してください。｝
でないと…このままでは愛する家族をも憎んでしまう！
「深刻な社会問題にも切り込んだ、幼なじみ男女の4人が紡ぐピュアなヒューマン・ラブストーリー♪」
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この雪原で君が笑っていられるように【ネタバレ1話】愛情の押し付け！
ヤングケアラー
福井県は南越前町の雪深い山間の田舎町で、無邪気に遊びまわる4人の子ども達の光景から物語がスタートします。
この4人は兄妹のように育った幼なじみの関係性です。
それから10年の月日が流れ、
4人の中の一人にして、本作のヒロイン・白鹿 むく（シロシカムク）21歳が、大人に成長した姿で登場します。
彼女は先日受けた仕事の面接の”不採用通知”をスマホ画面で確認し、
家路に向かう電車の中でぐったりとうな垂れているところだ…（汗）
幼い頃に父親を亡くし、それからは祖父母の元で暮らすようになったムクは、
彼女が中学になった時に祖父が”認知症”を患ったことで、
母親と共に大変な介護を手伝うようになりました。
ムクの下には妹のイノリがいるが、もうすぐ大学受験を控えた勉強に集中している時期でもあり、
今のムクは女だけの家庭で重要な戦力となっている存在でした。
そんな中、
高校を卒業するとほぼ同時に就職した先の会社が倒産したことで、
次の働き口を探しているけれどなかなか思うように次の職場が見つからず焦っていました。
状況的に見てムクは、複雑な家族の犠牲になっている典型的な”ヤングケアラー”な女子でした（汗）
家族への愛情と自分の将来への不安に押しつぶされそうになっている。
そんな主人公だ。
どんよりと沈んだ気持ちで電車に揺られていたムク。
彼女の視線の先に現れたのが、まだ幸せだった頃にずっと一緒に遊んでいた幼馴染の天沢 優都（アマサワ ユウト）でした。
その日、ムクは優都と10年ぶりの”再会”を果たしていたのですが、
二人が大人になっていた事もあり、言葉を交わし合っているにも関わらずお互いが認識できませんでした。
まだこの時までは・・・
愛情の押し付け！
祖父の介護と並行してできる職場を探さなければいけないムクの職探しはかなり困難を極めており、
この日も働き口が見つからず重い足取りで自宅に帰って来たムクを笑顔で迎えた祖母と母親とイノリ。
家族の仲は決して悪くはない。
しかし…
しんしんと降り積もる雪の中を帰って来たムクを待っていたのは祖父の介護だった。
｛いつまでこの生活が続くんだろう…？｝
もちろん父親の亡くなった後に面倒を見てくれた祖父母には感謝の気持ちしかないが、
さすがにいつ終わりが来るかも分からない介護と仕事に追われる人生は切なくて苦しい（汗）
この日…妹のイノリの進路にまつわる祖母たちの会話を耳にしたムクは。
ついにこれまで言いたくても口にできなかった考えを祖母と母に伝えました。
それは…完全に介護なしでは生きられなくなった祖父をしかるべき施設で面倒見をてもらう話だ。
これ以上、自分も妹も家族の犠牲になってはいけない！
ムクは辛い気持ちを押さえ込んでそれを懇願してみたのです！
すると…
祖母と母親から返ってきた言葉は、ムクのことを”薄情者”呼ばわりする悲しい回答でした。
なんで…？
祖母と母親は不条理なムクに対する”愛情の押しつけ”に終始して、
ムクを家族の犠牲者のごとく家に縛り付けようとするばかりだ（汗）
もはや話にならない不毛な家族間の会話。
そんな絶望的な状況の中、突然ムクの”救世主”が現れました！
そうです！
昼間、電車の中で再会していたけど認識できなかった幼なじみの優都です。
彼は兄の朔都（さくと）と一緒にムクの自宅へ里帰りの挨拶をしに来たところで、
偶然ムクと祖母のやり取りを聞いて中に入ってきたのです！
ここからムクの閉ざされそうになっていた未来が大きく開けていくわけですが・・・
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1話の感想まとめ
サイト主のまるしーが”ヤングケアラー”という言葉があるのを知ったのはつい最近のことですけど、
まさか初めて連載を持った新人漫画家さんが、この扱い辛い社会的問題を含んだラブストーリーに挑戦されるとは…（汗）
とんでもない才能をもった漫画家さんが出てきました！
本作の著者・ちづはるか先生は、この先間違いなくヒット作を連発する売れっ子の漫画家さんになると今から断言させて頂きます。
「大物感がすごいです♪」
とりあえずこの1話を読んで感じたのは、いろんな部分で新しさや斬新さを感じたところです。
まず…物語の舞台がはるか先生の故郷である”福井県”という設定が、
この作品の世界観にちょうど合っていてベストマッチだと感じました。
ヤングケアラーの問題も、田舎町で男尊女卑な風潮が強い土地柄だとまったく違和感がない。
そして…登場人物のキャラがそれぞれに秀逸でした。
いかにも田舎町で暮らす朝ドラヒロインのオーラを纏った主人公のムクを始め、妹のイノリや優都に朔都のキャラ設定と年齢差が絶妙で、
この４人の幼馴染がこれからどういったピュアな恋愛ストーリーを紡いでいくんだろうと思っただけで嬉しくなります♪
特に昔はムクと大の仲良しだった気の弱い泣き虫の優都が大人になったキャラが、
ネット掲示板2チャンネル創始者の”ひろゆき”さんや安芸高田市の”石丸市長”を彷彿とさせる論破王になっていたところが大笑いです♪
1話の後半で優都がムクの祖母をボッコボコに論破するシーンは、まさに圧巻でいて最高のスカッとでした♪
そうなんです！
家族の愛情を盾にして追い詰めようとしてくる相手には、
優都みたいに論点をちゃんと整理して、そこから理論立てて相手の主張に反論することが効果的な対抗手段です。
だからこそ発言に矛盾がありまくりな祖母はぐうの音も出なくなりました。
ムクの母親と祖母は典型的な”ヤングケアラー製造機”にして、
どこにでも存在する田舎の前時代的な考え方を持つ人種です。
昭和の時代から頭の中がまったく更新されていません。
そういう相手とはまともに会話したって意思の疎通はできないし、自分の心が疲弊するだけの不毛なやり取りになる（汗）
なので優都の祖母に対する対応は完璧でした！
聞くに堪えない不条理な論調で相手を言いくるめようとしてくる相手には、
怒りに任せた感情で反論するのではなく、その主張を法や例題に照らし合わせて、
具体的にどこのどの部分が間違っているかを反論し、一つ一つの理不尽ワードを潰していけばいい！
祖母や母親のような自分たちに都合よく物事を進めて行こうとする人間の主張を論破するには、
絶対に感情的になってはいけない。
最近、まるしーも”ひろゆき”さんのディベート術を参考にして、
年寄りばかりで構成されている自治会の会合で論破祭りをしているタイミングでしたから、
優都と祖母のやり取りは見ていてすごく勉強になりました♪
さすがに優都ほど強い言葉で相手を論破することは性格的にできないですが、
一方的に現役世代の人たちに自治会の煩わしい仕事を押し付けようとする年寄りたちに、
自治会の会則を持ち出して冷静に反論して理不尽な要求を撥ねつけました。
後のことを考えたらかなり勇気のいる行動でしたが、
今は夫のけいぞーさんも一緒に闘ってくれているので、なんとか年寄りたちの支配下に納まらずに済んでいます（汗）
すでにベテラン主婦の年齢のまるしーでさえ、そんな感じの息苦しさを感じながら日々を生きているのですから、
ムクのようなもっと厳しい生活環境にある女性が、どれほど生き辛い日々を過ごしているかは想像に難くない（汗）
だからこのタイミングで優都と朔都に再会できてほんとによかった♪
再会した直後に優都と朔都の家でお世話になろうとするムクのドラスティックな行動が、
いかにも田舎町で育った幼馴染の関係性って感じがよく出ていましたね（笑）
”ザ・竹馬”の友って感じでほっこりしました♪
全69ページというかなりボリューム感のある1話の内容でしたが、
それで十分にこの物語のテーマや主人公のムクが置かれている今の現状がよく分かりました。
スゴく切なくて重いテーマを孕んだラブストーリーだけど、
今まで読んだことがない種類の恋愛ヒューマンドラマという感じで、
今のところ期待しかない状態で、すごく続きが気になる物語です。
「単純にめちゃくちゃ面白い♪」
＞＞＞『この雪原で君が笑っていられるように』2話の解説と感想はコチラ♪
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