著者:清水奏良
『東郷家へ嫁いだ話』
5話の解説と感想です♪
文の素性をすべて知った上で正治が自分を受け入れてくれたと感じた文は、
これまで生きてきて初めて人生というものに希望を抱きました。
{彼となら私も幸せになれるかもしれない。}
なのに…
トツゼン文が知ってしまった自分のルーツ。
なぜ…正治のような名家の次期当主が、
わざわざ”呪い子”と蔑まれ忌み嫌われている文を妻に娶ったのか…?
それは…どんな名家の娘と結婚するよりも文に価値があるからだ。
文さえ知らなかった彼女のベールに包まれた素上の秘密が徐々に明らかとなってゆく!
すると…これまでは感謝するだけだった文の正治への気持ちにも大きな変化が生まれてきて…。
「幸せ色に染まっていた文の結婚生活で気になる不安要素が出てきました…(汗)」
4話の解説と感想はコチラ♪
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東郷家へ嫁いだ話【ネタバレ5話】明るくて心優しい義妹!
現影家
正治からかけられた心が救われたような温かく勇気づけられる言葉に、
生まれて初めて救いのなかった人生に希望を見出し始めた文でしたが、
その日の夜にたまたま正治と榛名の会話を立ち聞きした彼女は、
自分が現影家(ありかげけ)という没落した名家の血を引く唯一の末裔であることを知ったのです。
松方家から引き取られて養子になる前の記憶がほとんどなかった文はその事で大きく動揺すると同時に、
正治が”呪い子”である自分をわざわざ妻に娶った理由はそこなんだと推測したのです。
彼の文を気遣う優しい言葉の裏には、しっかりと打算的な狙いが隠されていたのか…?
それは…文の正治に寄せていた信頼と感謝の気持ちに冷たい風が差し込んだ瞬間でした。
そんな中、東郷家にこの日、正治の妹・琴音(ことね)が帰宅してきました。
琴音は体が弱く、普段は病院で入院生活を送っている文と同じ19歳の女性ですが、
今回は恐らく兄の結婚相手のことが気になって一時帰宅してきたと思われます。
そんな妹の帰宅に少し東郷家にザワついた空気が流れたものの、
明るくて天真爛漫な琴音は、文のことを温かく東郷家に迎えてくれました。
大体こういうケースは性格の悪い小姑というパターンが多いのですが、
意外にも琴音は文に好意的ですごくラッキーでした♪
琴音の裏表がなさそうな明るい性格が本当のものならば・・・
明るくて心優しい義妹
正治の妹・琴音の出現で少しの緊張感が走った東郷家でしたが、
その陰では文と正治の”甘ずっぱい夫婦のシーン”も描かれていたんです♪
それは…
二人がお互いに下の名前で呼び合うというキュンなシーンだ。
このやり取りを経て、文はたとえ正治が自分のルーツに関心があって結婚に踏み切ったとしても、
彼が自分に優しく接している事実に変わりはなく、
自分がもし東郷家にとって役に立てる人間であるならば、
それはそれで素晴らしい事だと思いなおしたのです。
これでま二人の夫婦としての距離は一歩近づいたようだ。
そして次は琴音と文の関係です。
文は琴音が帰って来たその日、彼女からたくさんの着物をプレゼントされるのですが、
その理由が実に切ないものだったのです。
なぜなら琴音は”腐体病(ふたいびょう)”という難病に侵されているせいで全身にアザがあり、
死に至る恐ろしい病気ではないものの、常に体調のすぐれない不自由な生活を余儀なくさせられているのです(汗)
だから何着もの高価な着物を持っていても着る機会なんてほとんどないわけで、
自分に代わって持っている着物をぜひ文に使って欲しいと言う琴音に対して、
文は受け取れないと応じるのです。
えっ…!?
ココから文と琴音が心を通わせる胸がジンとするやりとりが繰り広げられ、
その結果…
文はこの“明るくて心優しい義妹”とまるで親友のような関係になります。
これで琴美が東郷家にやって来た際のちょっとした不穏な空気は一気に吹き飛んだのですが、
まだまだ文につきまとう負の感情を持った人物からの恨みは尽きなくて・・・
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5話の感想まとめ
今回の内容を見た限りでは、正治の妹・琴美は、文にとって厄介な身内ではなさそうに思えます。
ただ…
それはあくまでも表面的な友好関係を装った琴美の”演技”なのかもしれません。
そう思った理由として、琴美と初対面の挨拶を交わした際に文が感じた琴美への印象が少し気になるのです。
{東郷様とはまったく似てない!}というあの文がつぶやいた心の声は、
あんに正治と琴美が両親のどちらかが違う異父または異母兄妹であることを示唆しているようにも受け取れます。
ということは、琴美が正治に対して兄として以上の感情を抱いている可能性は否定できません。
もし…琴美が正治に恋愛感情を抱いているとすれば、
これまでどんな女性に対しても関心を示さなかった兄が選んだ妻にはすごく興味を持つだろうし、
入院先の病院から一時帰宅してでもその女性と会ってみたいと言う気持ちになるでしょう。
さらに…
琴美が患っている”腐体病”という得体のしれない難病の事も気になります。
もしかすると琴美の病気と兄の結婚には深い関連性があるのかもしれません。
例えば文は没落した名家である現影家の唯一その血を受け継いだ末裔です。
もし…現影家の一族が琴美の”腐体病”を治せる能力を持った一族だったとすれば、
有効な治療方法がない奇病におかされている妹のために、文と結婚したというなら
なぜ文を妻に娶ったかのかという疑問に納得がいくし、
正治が町で文を初めて見た際に呟いた「見つけた」というあの意味深なセリフにも繋がります。
「さて…どうなんだろう?」
今の段階ではまだ真相は分かりません。
でも…正治の文に対する態度や反応を見ていると、
最初は彼が東郷家を利する目的で文に近づいたことは確かであっても、
実際に文と触れ合って彼女の純粋で魅力的な人となりを知って行くうちに、
本心から文のことを愛おしい存在と思い始めていることは確かなようです。
文自身もたとえ自分の生まれが大きな要因で正治から妻に請われたとしても、
それはそれで光栄なことだと自分の中で処理しているみたいですし、
スタートこそお互いに愛情以外の点で結ばれた夫婦であっても、
そこからの暮らしを経て心と体も本当の夫婦になってゆけばいい。
その愛の育みを妹の琴美が静かに見守ってくれていれば最高なのですが、
今のところ琴美は文にとって敵なのか味方なのかはまだ判断がつき辛いわけで、
しかも…
現在進行中の形でいまだに文の弟・樹は姉が東郷家に嫁いだことがどうにも許せない様子です(汗)
彼がまた違法な懐紙を闇販売している百目鬼(どうめき)に近づいたということは、
近々のうちに文がなんらかの危険にさらされるという事です。
もし…次に樹が文に手を出してきた時は、
さすがに正治が容赦なくこのバカな弟を叩き潰してくれると思うのですが・・・
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