著者:橘ちなつ
『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~ 』
最終話の感想です♪
ついに今回の30話をもって感動の最終回を迎えます。
千夏の長きに渡って病名すら判明しなかった精神疾患との闘いに決着がつきます。
この物語は本作の著者で主人公でもある橘ちなつ 先生が、
実際に自ら経験したノンフィクション作品という事もあり、
病気から解放される瞬間も劇的とは思えないあっさりとしたタイミングで訪れ、
これまで苦しんでいた月日がまるでウソのようにサクッと消えてしまう…(汗)
これぞまさしく真実のドラマなんだと感じるリアリティに溢れたエンディングでした。
そして…世の中にはまだ主人公の千夏と同じように、
病名のつかない自身の症状に苦しんでいる産前産後の女性たちがいる。
そんな絶望の中で闘っているママさんたちにとって、
本作は間違いなく救いの一冊になる名作だと思います。
なので…この作品は広く世の中に知らせていかなければいけない医学書だ!
「こんなにも心を振るわされて、ヒロインに涙した作品はこれまで読んだことがなかった。」
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最終話の感想
本作の物語が著者である橘ちなつ先生が実際に体験した物語だということを知っているだけに、
主人公の千夏が回復して本当に良かったと感じるストーリーでした♪
そして…まるでウソのように苦しめられてきた症状があっけなく改善されたあの瞬間。
まさに真実のドラマであることに深く感動を覚えたのです。
劇的な治療を施したわけではなく、天才医師が登場してドラマチックに治すこともない。
それはそれはあっけなく千夏の闘病記が幕を閉じたのです。
そこがすごくリアルでした。
「病は気から」というだけではなく、病はその人の持つ個性に由来する。
この作品を読んでつくづく世の中で解明されている人間の病気なんてごく僅かなんだと改めて認識しました。
そして…みんな姿かたちは同じ人間であっても、一つ一つのまったく違う細胞が寄り集まってできた生き物なんだということを…。
そのことから自分の尺度で他人を評価したり、決めつけたりする愚かさを痛感させられます。
そのため、宇田川先生が深く頭を下げて千夏に謝罪したシーンには感じ入るものがありました。
世の中にはまだ解明されていない特殊な症例を患っているせいで、人から非難されたり変人扱いされている人がたくさんいるんだろうと想像すると、
これまで自分が得た知識と経験則だけで他人のことを決めつけた目で見てはいけないという思いに至ります。
「これはすごく大事な意識だ。」
国家資格を持った医師でさえ知らない病気が世の中には五万と存在するわけで、
なんの医学知識もないサイト主のまるしーが知っている病気の症例なんてごくごく僅かなのです。
だからこそ、もし他人と関わる中で不快に思うことや、自分の意見がうまく理解してもらえないもどかしい事態に直面した時も、
一旦は相手の言葉や言動に心を傾けて観察することが大事なんだと思う。
もし…目の前の人がなんらかの精神疾患を患っていると想像することができたら、自分の中で湧き上がってきた負の感情は浄化されていく気がします。
そんな心の持ちよう一つで、人と人の諍いごとが劇的に減るはずですし、健康そうに見える目の前の人が、誰しも精神的にも健康だと思わないことが重要だ。
「それを自身の戒めとしてこれからも日々を過ごしていこう。」
自分のこれまでを振り返ってみると、思い当たる知人との軋轢が生まれた瞬間がたくさんある。
あの時…もし彼が彼女が精神的な疾患を患っていたとしたら、
まるしーは事情も知らずに、ただその人の傷口へ塩を刷り込んでいたことになる…。
「意識を変えよう。」
人はみな自分と同じ人間ではない。
その大前提を忘れずに他人と関わっていけば、これまでに感じてきた人への不快感や怒りが、相手を理解しようという考え方に変わるだろう。
この『妊娠したら死にたくなった』には、ものすごく感動させられた上に、
多くの気づきや啓蒙を与えてもらいました。
それは全て著者である橘 ちなつ先生が、余すことなくご自身が体験された辛く苦しい出来事や、
思い出したくもない悲しい心の内を漫画というコンテンツに全て落とし込んでくれたからだ。
本作を読まなかったら、まるしーは一生”産褥期精神病”の存在を知らずに過ごしていただろうし、
子供を愛せない母親をただただ批判し軽蔑していたことでしょう。
さらに…これまで何度となくこのブログの中で世の中の医師に対する不信感を綴って来たまるしーですが、
本作を読むことで医師に対する認識も少しばかり変わりました。
ドラマや映画に登場するスーパー医師や看護師の活躍にはまったく心が動かなかったまるしーですが、
本作に登場した宇田川先生には、リアルな医師としての姿を見たような気がします。
あと…看護師の香坂さんの存在も心に残りました。
現実の世界でああいう看護師さんと出会える可能性は低いでしょうが、それでも現実に存在するんだな~ということが分かっただけでも救いになる。
今でもまだ自身の実体験がもとで医療機関への不信感はぬぐえませんが、
中には真摯に患者さんの病気と向き合っている医師や看護師さんがいるという事が分かっただけでも、
この作品を読ませてもらった価値は十分にありました。
素晴らしい作品を描いてくれてありがとうございました…。
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