今の世にも語り継がれる大奥の伝説。
その小さい箱の世界の中で、女は闘い、愛され、人生を終える・・・
華やかなで、厳しい世界に送られた女たちの激しい生きざまが胸を打つ!
女たちの情念が紡ぐオムニバス!
著者:安武わたる
『闇の大奥秘事作法~月光院伝~』
江戸城に存在した『大奥』と呼ばれるオンナの花畑。
そこには、将軍家の子女や正室、奥女中たちが集められ、
時の将軍たった一人に愛されることをゴールに女たちが激しく争う世界がある。
そして・・・
その勝負に勝ったものだけが栄華を極め、負けたものは屈辱的な日々を送る。
闇の大奥秘事作法の見どころ
女たちのドラマを描いたらピカイチの安武わたる先生の話題作です~♪
相変わらずこの先生が描く絵には力があって、強烈に引き込まれてしまいます。
今回、紹介する『大奥秘事作法』は、タイトル通りあの『大奥』でのアレコレが描かれているオムニバス作品集です♪
時代背景はそれぞれ違いますが、4人の”大奥ファイター”たちが魑魅魍魎(ちみもうりょう)とした女の園で、過酷な生き残りゲームを勝ち抜いてゆく・・・
収録された4作品の中には、テレビや小説の主人公になった女性たちの物語も含まれていて、
そのヒロインたちのドラマが、安武ワールドの独特なタッチで蘇っているのです。
『大奥』の世界って、日本人は基本的に大好きですよね~
ココには、人の妬み、嫉み、陰謀といったマイナスの情念がたくさん詰まっています。
正直、TV・映画・小説に関わらず、サイト主のまるしーは『大奥作品』が大好きです。
その大好きなシリーズを安武さんのコミカライズで読めるなら当然のことながら即買いだな~♪
そして、読んでみたらやっぱり壮絶な女の激しいドラマが生々しい表現で描かれていました。
「大奥モノにハズレなし!」
やっぱり今回もそうでした♪
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闇の大奥秘事作法のネタバレ!女たちの情念が紡ぐオムニバス!
闇の大奥秘事作法の内容
この漫画は、江戸時代に生きた4人の女性が、皮肉な運命に翻弄されつつも、
時には人をだまし、時には愛におぼれ、最後には・・・?
という誇り高い女性たちのオムニバスストーリーです。
*本編には下の4作品が収録されてます。
1話:朱き罪・牛裂きの刑
2話:月光院伝
3話:おてや人形
4話:猿姫恋草子
4人の立場も性格もまったく違う女性たちのサスペンスドラマ。
異人の血を引きついだ側室や、”大奥”に身をおく女中たちなど、様々な種類の女たちが、
それぞれの目的や野望を抱いて時の権力の中枢に潜り込む。
彼女たちの生きざまに共感したり、反発したり、心を震わされたり・・・
あなたならどの女性の人生にしびれちゃうのでしょう?
まるしーが、感動したお話は最後の感想でお伝えしたいと思います~♪
それでは、『闇の大奥秘事作法』に収録された作品のあらすじや見どころを順番に紹介してゆきますね~
1話:朱き罪・牛裂きの刑
16世紀(桃山時代)のお話です。
時代的には、豊臣秀吉が天下を治めて関白という称号を得たときの時代背景です。
主人公は、南蛮人(外国人)との混血で生まれ、ブルーの瞳と透き通るような白い肌をした遊女です。
名は、”お瑶(よう)。
彼女は、困窮した生活の中、大津商人の男に拾われて、
播磨地方の小国・生越国(おごせのくに)の領主・別宮有任(べっくありとう)への待女として献上される。
すると、お瑶のあまりの美しさに惚れ込んだ別宮は、いつもお瑶を傍らに置くようになった。
ただ・・・
いくら彼女を抱いても、愛の言葉をささやいてもお瑶は氷のような表情を変えない
まるで感情を置いて生まれてきたような女だった。
話す言葉もなげやりで、領主である別宮に対してもぞんざいな口の利き方をした。
しかし・・・
今まで、別宮がそばに置いてきた女とはまったく毛色の違うお瑶に、神秘的な魅力を感じた別宮は、
周りの家臣たちが反対する中、なんと・・・お瑶を側室に迎え入れた。
笑わない遊女・お瑶は、とうとうしがない遊女から、地方領主の筆頭側室にまで上りつめたのだ。
ただ・・・
この時、お瑶はある目的をもって、別宮の側室という立場を手に入れたのです。
彼女の真の目的とは…?
【見どころ】
この時代には珍しいタイプの遊女が、ある大物戦国武将に復讐するストーリー♪
実際、別宮は、白い肌とフルーの瞳にはビックリしたんだろうな~
なにがあっても笑顔を見せなかったお瑶が、物語の後半に、色っぽい笑顔を見せるんです。
その理由と、その後のショッキングな結末が見どころです♪
2話:月光院伝
江戸の町娘が、徳川6代将軍 家宣(いえのぶ)の側室となり、未来の将軍の母にまで上り詰めるシンデレラストーリーです。
町人の町娘だったお喜世(きよ)が、町で男たちに絡まれているところを後の将軍・家宣に助けられ、
それが縁となって側室に迎えられ、やがて元気な男の子を産み、
正室との権力争いにも勝利し、みごと天下人の母となる。
まさにわが世の春を謳歌するお喜世であったが、
人生いつまでもうまく回ることはない。
愛する将軍・家宣が病に倒れて亡くなると、彼女の運命の歯車が少しづつ狂ってくる・・・
【見どころ】
どんな分野においても、出世物語って、一定の面白さがありますよね。
本作は、町娘のサクセスストーリーと、その転落人生を描いたヒューマンストーリーで、
『大奥』にまつわるお話の中でも特に有名な『絵島生島事件』というストーリーが入ってる内容で、
一粒で二度おいしいパターンです♪
3話:おてや人形
1840年、江戸城・大奥に伝説の女中がいた。
彼女が、本作の主人公・おてやだ。
12歳という年齢で、奥女中として奉公に上がったおてやは、すでに女として出来上がった風格のある少女だった。
顔もカワイイというより、美しいという言葉が似合い、一通りの手習いならなんでもそつなくこなした。
そんな彼女を見て、少し先輩女中のお辰が、おてやに激しい対抗心を抱くようになった。
しかし・・・
旗本の位を金で買った家の娘であるお辰は、正当な旗本の家で厳しく躾けられてきたおてやに女としてかなうはずもなく、
圧倒的な女子力の違いを見せつけられたお辰は、影でおてやに嫌がらせを働くようになるのだが・・・
【見どころ】
よく考えたらこの時代の女性たちって、馬や牛みたいに取引される存在だったんだな~
それが百数十年前の話なんですもんね。
絢爛豪華な『大奥』の世界と言っても、将軍に声をかけてもらうことだけを目標にした惨めな世界です。
一か所に閉じ込められ、家族とも会えず、下働きをしながら見初めてもらえることを信じてひたすら奉公に精を出す。
いま考えるとこれほど人として屈辱的な人生はないですよね。
ちょいと角度を変えて読んでみると、女性の悔しさがいっぱい詰まった物語です。
そして・・・ショッキングな結末にちょっと心が震えました。
4話:猿姫恋草子
時代背景がちょっとよくわからないのですが、
さながら日本のシンデレラストーリーのようなお話です。
3人姉妹の末っ子の姫が、上の二人の姫とは違って、とてもルックスが悪い。
しかも、山で拾ってきた子猿をずっと手元に置いていて、姉二人からは”猿娘”と呼ばれて蔑まされている。
ただ・・・
3人の娘たちの中で一番心が綺麗なのは、この”猿娘”の芙蓉(ふよう)だった。
ある時、合戦に負けた相手方の当主の息子が、人質として芙蓉の家にやってきた。
そして・・・
雅澄(まさずみ)というその青年は聞きしに勝るハンサムな顔をしていた。
人質という立場ゆえ、なかなか芙蓉たちに心を開かなかった雅澄だったが、
見てくれは悪いが心根のキレイな芙蓉にいつしか心を惹かれ、お互いに信頼しあえる関係になってゆくのだが・・・
【見どころ】
最後はちょっと嬉しくなるような結末が待っている作品でした♪
この時代が戦国時代なのかどうかは分かりませんが、
争いの絶えない時代に生まれていたら、昨日まで豪華な着物を着て贅沢な暮らしをしていても、
翌日に合戦が始まって、もし負けてしまったら食べるものにも事欠く生活だなんて・・・
ちょっと想像もつかない過酷な人生だな~
そんな世の中と、ブサイク姫のシンデレラストーリー♪
ただ・・・
ツンデレな御曹司・雅澄が最後に見せた芙蓉への愛は、恐ろしいほどカッコよかった。
読後感が素晴らしい~♪
以上、全部で4編の読み切りサスペンスストーリーのご紹介でした~
みなさんが特に印象に残った作品はどの作品だったですか?
まるしーはやっぱり、あのお話かな~♪
伝説の奥女!
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闇の大奥秘事作法の感想
題材として『大奥』の話が使われているんですが、中でもまるしーのお気に入りは、『おてや人形』のお話かな。
12歳にして妖艶な魅力をかもし出す少女・おてやの女子力。
だけど・・・
その色気の背景には、たった12歳の少女が、一家を支えるという残酷な運命があるからなんです。
大人にならざるをえない立場だったおてやの悲しい宿命。
そんな暗い影がどんどんとおてやを妖艶な女性として成長させてゆくさまは、悲しくも美しかったな~
年齢関係なく、覚悟を決めた誇り高い女性は美しいものだ
おてやの爪の垢を煎じて飲みたい気分になった。
始めのうちは、年下のおてやに対抗心むき出しだったお辰が、自分の命に代えてもおてやを守ろうとしたのも、
まるしーと同じような思いに駆られたからでしょうね~
なんかすごく悲しくてやるせないストーリーでしたけど、心打たれるモノがありました。
あとは・・・
やっぱり、『月光院伝』かな~♪
この話は、ザ・大奥という感じで、女性のサクセスストーリーと、悲劇的なドラマが混在してて、女性の悲哀がたくさん込められた内容です。
この作品の中で登場する『絵島生島事件』は、TVドラマや、小説にもなっているお話ですが、そのドロドロな愛憎劇が面白いんです。
まぁ~全体を通して見て、やっぱり安武先生って感じの気合いが入った女性ヒューマンな内容でした♪
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