『シジュウカラ』
11巻の解説と感想です♪
いろんな意味でこの11巻は感慨深いエピソードです…。
クリスマスの夜、ドラマチックな展開で忍と千秋が正式に付き合うこととなったわけですが、
長年求め続けた相手と初めて体を交わし合おうとした二人を襲ったのは、
ずっと千秋が抱えていた女性に対する”トラウマ”でした…。
何とも言えない気まずさのなか、忍がかけた千秋への言葉がとても温かくて優しくて切ない…。
いったい…神様はどこまでこの二人をイジメれば気が済むんだ・・・
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シジュウカラ【ネタバレ11巻】もう離れないと誓った日!
36話:Holy Night
「今度は忍さんへのラブレターのつもりで描きます!」
担当の編集者でもあり、それと同時に恋のライバルでもある岡野に電話でそう力強く報告した千秋。
すると…岡野は、
「楽しみにしてます♪」
と…編集者としての大人を見せて私情は、はさまずに千秋を励ました。
一方、忍から言われて人形作家の個展を観に行った日から、明らかに様子が変わってきたみひろは、
自分で紙ねんどを買ってきてなにやら創作を始めました。
よい傾向だ♪
もちろん作ってるうちに上手く自分の表現ができなくて、ふて寝したりもするが、
忍から見るとずいぶん上手にできているように見えました。
そんな中、
千秋から電話で漫画を描く上でキャラクター設定の作り方について相談を受けた忍は、
描くキャラクターが自分の好きな人に似ることが多いと自分なりのアドバイスをしたが、
その内容は、先日みひろが千秋に指摘した通り、
表面上は隠しているけれど、本当は千秋のことが大好きだと言わんばかりの内容だったのです。
そんな忍の話を聞いて千秋の腹は決まりました!
その時、忍と千秋の会話を寝たふりをしながら、なにかを思いつめたように聞いてきた みひろがいました。
翌日、みひろは人形作家の個展で知り合った女性と会い、
そのままその女性の家に泊まりました。
そのことを大いに喜んだ忍は、人形教室に通いたいというみひろの背中を押した。
そして…自分の進路について真剣に考え始めたみひろに温かいアドバイスを贈ったのです。
{みひろはもう大丈夫だ。}
その日はクリスマスイブだった。
以前からデートの約束していた岡野は、高級レストランで忍にプロポーズをしますがあっさり断られ、
その答えを予想していた彼は、うって変わって今度は千秋と忍のキューピット役を務めることに!
千秋の描いた新作のネームを忍に渡して、スマホで彼がいる場所を教えた岡野は、
「行っといで…」
と…笑顔で忍を見送った。
千秋と出会ってからどれほどの月日がたったことだろう。
今、やっと忍は千秋と真正面からぶつかる決意を固めたのです。
彼女はHoly Nightの街を千秋に向かって駆け出していった・・・
37話:ふたりきり
クリスマスツリーの下で立っている千秋を見つけると、迷うことなく彼の胸に飛び込んだ忍。
{えっ!?}
岡野と待ち合わせしていた千秋は、忍の登場に驚いて、
「どうして…!?岡野さんは?」
と…千秋が問いかけると、岡野から預かってきた原稿をチラッと千秋に見せたあと、
「彼とは…別れてきた」
と…それまでの経緯をぜんぶ省いた少ないセリフで千秋に告白したのです!
忍の表情と言葉で全てを察した千秋はそっと忍にキスをして、
「ふたりきりに…なりたい」とねだるように言いました。
その後、忍は自分の家に千秋を招き入れ、ふたりきりになるのを我慢していたかのように、
千秋は玄関で忍を抱きしめて熱いキスをしました。
そのまま情熱的に絡み合いながら、服を一枚一枚はぎ取りながら部屋の中へ入ってゆく二人ですが、
いざっ!という場面で千秋が戦闘不能になってしまうのです(汗)
それは、千秋が過去に受けた性的虐待のトラウマが出てしまったからだ!
「ごめん」と謝る千秋に、「謝らないで…」と返す忍。
すると…
そんな重い空気を壊すかのように、千秋の空腹だったお腹が「ぐーーーっ」と鳴った。
救いの音だ…(笑)
二人は、気分直しに夜のコンビニで、遅ればせながらクリスマスを楽しむための食料を買い込み、
ふたりきりのクリスマスを静かに楽しむことにしました♪
そしてその夜、
二人はもう一度体を重ねようとはぜず、手を繋いで寝ました。
翌日、千秋の担当編集者が、岡野から女性の編集者に変わっていた。
岡野も思うところがあったのだろう。
それから数日が過ぎ、年末には帰省してくると思っていた息子の悠太が帰ってこないと連絡を受けた忍。
せっかく奮発して、悠太の好きなローストビーフを作ったり、豪華なおせち料理を注文していたのに(汗)
息子の帰省がなくなったことで、気兼ねなく千秋との時間を過ごせることとなった忍は、
彼に連絡を取り、年越しを一緒に千秋と過ごすことになりました。
たくさん買い込んだ食料を持って…
この頃になると、千秋といっしょに暮らしている みひろは、
個展で知り合った女性の家に入り浸りになっていたのです。
だから、千秋と忍は、ふたりきりの甘い年末を過ごせるわけだ。
まったりとした甘い楽しい時間が流れる…。
やがて、二人の気持ちが高揚してきて、そういうムードに入ってゆくのです。
忍は、また、千秋を不能にしてしまう過去のトラウマが出てくるのではないかと、
ドキドキしながら、千秋を受け入れるのだが・・・
38話:愛の証
忍は受け入れOKの状態だったが、どうしても肝心なところで千秋が萎えてしまって最後まで到達できない二人。
自分でもよく分からないED状態に動揺して、焦れば焦るほど自分のモノが反応しなくなる千秋。
何年も追い求めた末にやっと叶った忍と過ごす至福の時間なのに、
自身の不甲斐なさに思い悩んでしまうのです。
そんな中、一緒に暮らしている みひろが展示会で知り合った女子友と一緒に暮らすこととなり、
ついに彼女は千秋から無事に卒業してゆきました。
一方、これまた自分のせいで千秋にプレッシャーを与えてしまっていると悩んでいた忍。
彼が自分をちゃんと抱けないのは、”男娼”をしていた頃のトラウマが原因だろうと推測する。
そう思うと心が痛くなる忍だった。
そんな中、千秋との仲を自ら取り持ってくれた岡野と会って、千秋との近況を報告する忍は、
岡野からしたら酷い裏切り方をしたはずの忍に優しく対応してくれました。
岡野は忍が仕事をやりにくいだろうと、担当を変わろうと打診してくれたが、
逆に忍は岡野の方がいいと、仕事相手である岡野には絶大な信頼を置いていることを伝えました。
嬉しそうな顔をして、「俺は”ささき”先生のファンだから」と言って、忍の希望を快く受け入れました。
これで岡野との関係性は作家と担当編集者に再び逆戻りできました。
その後、忍は仕事場兼自宅として使っていたワンルームから二部屋あるマンションに部屋を引っ越します。
それは千秋と同棲する目的ではなく、心機一転して新しい生活環境を作りたかったからだ。
さらにこのあと、新しい新居で忍と千秋は、”愛の証”を手に入れることとなるのですが・・・
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11巻の感想
「岡野さんが大人だな~」
仕事とプライベートの狭間で心が乱れ揺れ動きながらも、
ちゃんと自分がするべき仕事をして、最後は見事に振られて見せました。
ちょっと優等生すぎると思う反面、彼の器の大きさに深みのある男の魅力を感じました。
普通の男なら、婚約指輪まで買った女性に、なかなかあそこまで紳士的な態度はとれません。
彼はちゃんと自分の立ち位置を理解したうえで、大好きな人の幸せを一番に考えたのです。
そして…きっぱりと自分から身を引いたのです。
「男ですよ彼は…!」
この潔い岡野さんの振る舞いは、全国の元彼ストーカー男たちに見せてあげたい。
女の一方的な思いですが、
「男は好きな女性が他の男性に心が移ったら、陰で男泣きしてその場に留まってください!」
女の心は二度とあなたには戻ってきません!
「それが女です。」
ただ…悲しさにグッと耐えているあなたの姿を、他の女はちゃんと見ていますし、カッコいいと思ってます。
「非常に辛いことですが、でも…耐えてください。」
そうすると男性はどんどん男としての渋みが増してゆきます。
何十年も女性として生きてきたサイト主のまるしーは、素直にそう思います。
最低なのは、付き合ってる頃にろくな愛情を彼女に向けていなかった男性が、
彼女の心変わりを知った瞬間、必死になって女性の心をつなぎとめようとする行為です。
そしてその間違った気持ちが暴走してやがてはストーカーの域に入ってゆく。
「まさに最悪なケースです。」
正直、まるしーは知り合いでこういう男性に苦しめられた女性たちをたくさん知ってます。
「どれも悲惨な顛末だった。」
不思議なことに、その反対のケースは一つも知りません。
「男だけが未練たらたら…」
そういう経験から、まるしーの中では、
「男は女々しいもの」
という一つの認識ができあがりました。
だからこそ今回の岡野さんが行った一連の振る舞いに感動しちゃったのです。
忍と千秋が長年の想いを叶えたことも、その後二人がうまく体を重ねられないことも確かに胸を打ちましたが、
それでもまるしーは、この感想で岡野さんのカッコよさを書きたかった。
すごく地味な部分かもしれないけれど、まるしーはそういう岡野さんのシーンにたまらなく泣けたのです・・・
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