「今日は特別な日だからオシャレをしました。」
すでに壊れた関係性の夫婦が最後に連れ立って仲良く訪れたのは、
かつて夫が妻にプロポーズをした思い出の水族館でした。
二人はお互いに人生リセットのボタンを押すために、
最高で最悪の思い出が詰まったこの場所へやって来たのです・・・
著者:川夏子 / エトワール編集部
『リコ活アンソロジー:わたしの○×記念日』
お互いに愛情が続くことなく終わりを迎えてしまった結婚生活。
夫は他の女性を愛し、妻は危うく自分を裏切った夫を刃物で刺し殺す寸前まで壊れた。
しかし…
妻以外の女性から溢れる愛を注がれていた夫は、
怒りで自分に刃物を向けてきた妻に心からの謝罪と温もりのこもった言葉を伝えました。
不思議なことに妻はこれまで見たこともない夫の温もりに触れたことで、
なぜか心が癒されて壊れた自分を取り戻すことができたのです。
離婚を決意した夫婦のリスタートエピソードがとても深い。
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リコ活アンソロジー【わたしの○×記念日 ネタバレと感想】夫の浮気相手に感謝する妻!
未来へ向けたリスタート
この日、主人公の妻・ナオコは久しぶりにオシャレをしました。
その理由は夫と特別な場所にデートへ向かうからだ。
そこはかつて夫がナオコにプロポーズをしてくれた幸せの詰まった水族館である。
冒頭の二人はどこかウキウキとした雰囲気を醸し出すラブラブな夫婦のように見えるが、
実はこの二人、すでに”離婚”することが結成している壊れた夫婦なのです。
離婚の原因は夫の浮気です。
結婚して3年目に夫が浮気をして、その後1年間たっぷりと、妻以外の女性から溢れんばかりの愛を注がれた夫。
その中で夫はどんどんと荒んでいた心が満たされてゆき、
浮気の発覚後には刃物を持ち出して夫を刺し殺そうとしたナオコに向かって、
「こんなもの持ち出させて…ごめん。」
と…心の底からの謝罪と反省の態度を示したのです。
その際…
ナオコの手を握りしめた夫の手の温もりと穏やかな声が、
不思議と壊れたナオコの心を癒してくれたのです。
恐らくそれはたっぷりの愛に満たされた者にしか出せない温かさなのだろう。
この瞬間、ナオコは自分も誰かを愛し愛されたいと強く感じたのです。
それから不思議と彼女は夫にも夫の愛人にも怒りが湧いてこなくなった。
あんなにも傷つけられたはずなのに…
逆に壊れた自分を正常な状態に導いてくれるまで愛に満たされた夫を見て、
夫を愛してくれた見知らぬ浮気相手の女性に感謝するまでの境地に至ったわけです。
そして…
この日はその壊れてしまった夫婦関係にケリをつけ、
お互いに明るい未来へ向けたリスタートを切るために、
二人が一番最初に愛を誓い合った思い出の水族館へ向かったのです・・・
夫の浮気相手に感謝する妻!
今や全てのわだかまりを消化した夫婦による最後のデートは穏やかな雰囲気で時が流れた。
ナオコはデートの最初から夫がこの一年でずいぶん変わったことを肌で感じていました。
最悪だった結婚生活の途中に感じていた夫への不信感や苛立ち。
自分への冷たいまなざしや行動の数々。
しかし…今は、
彼の一挙手一投足がナオコへの思いやりと気遣いに満ちていたのです。
それはきっと彼が浮気相手の女性からの愛情を溢れんばかりに注がれ続けてきたからだろう。
ナオコはそんな夫を見て思う。
{人は愛を溢れるまで与えられることで初めてようやく愛を返せるようになる。}
まさに今の夫がそうなのだ。
夫婦の関係はぶち壊されてしまったが、ナオコは心の中で夫の浮気相手に感謝の言葉を贈る。
{見知らぬあなた…夫に愛をありがとう}
{私に変化をありがとう}
夫を愛に満ち溢れた男性にしてくれたからこそ、今こうして壊れた夫婦が笑っていられる。
ナオコも正気を取り戻せた。
結婚している時は夫の好きなものを何一つ自分が好きになれなかった自分がいた。
相性の悪さが格別なのだ!
でも…離婚が決まってからやっと夫が好きなものを好きになれたのです。
それが夫の浮気相手だということがとても皮肉に感じるが、
夫の浮気相手に感謝する妻!
一見、とても複雑怪奇な心の持ちようではあるが、
ナオコにとってはまさにあの時、一途の愛人が救いの女神に思えたのだ。
この日、離婚を記念する水族館デートを終えた二人は、その帰りにオシャレなカフェに入り、
楽しそうに冗談を言いながらナオコは目の前にある用紙にサインして捺印しました。
この瞬間を人生最高の記念日にしてみせると誓って・・・
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『わたしの○×記念日』の感想
まるで一節のポエムを読んだかのごとき読後感を与えてくれた深イイストーリーでした。
今紹介した【わたしの○×記念日】という短編マンガは、
『リコ活アンソロジー』の4話目に収録されている作品なのですが、
サイト主のまるしーが一番心に残った物語なのです。
『リコ活~』には全部で4作品のリコ活ストーリーが掲載されており、
そのどれもが夫との離婚を決意するまでに至る妻の苦悩や葛藤をリアルに描いていて、
全部それなりに共感したり納得する興味深い内容だったのですが、
中でもこの『わたしの○×記念日』だけは明らかに他の3作と毛色が異なっていました。
本作だけは最初から夫婦の離婚が決まっているところから物語が始まり、
そこから離婚に至るまでの経緯とこまかい妻の心情が語られてゆくのです。
そしてさらに特徴的なのが、物語の最初から最後まで妻の視点で、
妻の心の声が主軸のストーリーになっていることです。
だから、妻の”ナオコ”という名前は作中に登場してきますが、
夫の名前は出てきません。
夫のことは全て妻が「あなた」や「彼」という二人称や三人称で表現されているんです。
そこがまずスタンスとして面白いなと思った部分です。
あと…
妻ナオコの夫に対する複雑な感情が、すごく女性の深い心理を表していてとても共感できました。
夫の浮気相手の存在は、本来ならば夫婦関係を壊した人間として憎むべき相手なのだけれど、
最初から選ぶ相手が違っていたんだと気づかせてくれた相手でもある。
という考え方。
ナオコがそう思えるようになったのも、愛人からたくさんの愛を注がれた夫を目の当たりにしたからだ。
そういう妻の心理描写を描いたところが実に興味深くて面白ろかった。
ただ・・・
読者によってはナオコの考えが間違っているだとか、偽善的だとか言う人もいるんでしょうが、
まるしーには何となくナオコの心の声に共感する部分がありました。
「それは自分も同じように考えたことがあるからだ。」
そのことは『リコ活アンソロジー』の全話ページにある感想部分で、
それこそ詳しく説明しているのでここでは割愛させていただきます。
まぁとにかくわずか全30ページという短い物語の中に、
数年間に渡る夫婦生活の始まりから終わりまでを見せる技術がスゴイです。
ちょっとしたシーンで離婚を決める前の夫婦の関係性から、決めた後の関係性を表現しているし、
ラストページでは実に映画的な終わり方で綺麗に締めくくっています。
これは、著者である川夏子 先生による他作品をもっと読みたくなる気持ちにさせた作品でした。
だから…まるしーは最初から最後まで興味深く読みました。
とても面白かったです♪
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