著者：花影あると
『ALL BE PLUS !』
1話の解説と感想です♪
「自分の身体は好き？」
誰かにそう尋ねられてすぐに「yes！」と即答できる女性などごくわずか人たちでしょう。
人はみな自分の身体のどこかしらに不満やコンプレックスを抱いていることが普通です。
モデルじゃないんですから…。
この物語は、美を扱う世界での名声を欲しいままにした国内トップモデルの主人公・オリナが、
ある不幸な出来事を境に余儀なくその第一線から退き、
そこから復帰して第2のモデル人生に挑む努力と感動のヒューマンサクセス・ストーリーです！
「1話は主人公の国内トップモデルだったオリナが、とんでもない姿でモデル事務所に復帰する衝撃の内容でございます。」
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もくじ
ALL BE PLUS !【ネタバレ1話】自分の身体は好き？
いったいなんの冗談だ！
この日、モデル事務所『レーヴプロダクション』では、
一年の休業を経て事務所のトップモデル・大川リナ（通称：オリナ）が、
仕事復帰してくるということで社内は大いに盛り上がっていました。
オリナは一年前にトツゼン仕事中に”不安障害”を発症してモデル活動を休業するまでは、
超売れっ子の国内でトップクラスのファッションモデルであり、その名声をほしいままにしていた女性でした。
それだけに…
一年ぶりに事務所へやって来たオリナの姿を見たスタッフたちは大いに驚愕します。
かつて国内ファッションモデル界のトップクラスに君臨して、
そのパーフェクトなボディーとモデルウォーキングで皆を魅了していたあのオリナが、
今は身体全身にぽってりとお肉が付いた醜い体型に様変わりしていたのだ…（汗）
「えっ…まさか…!?」
「あれがオリナさん…？」
オリナは自分を見て驚いているスタッフたちに向かって、
申し訳なさそうな表情を浮かべながら挨拶をする。
「お…お久しぶりです」
一体何があったというのか…？
オリナを見たスタッフの誰もがそう思っていたが、誰も彼女に問いかけることはなく、
オリナはマネージャーの安田 真生と共に社長室へ入って行きました。
すると…
オリナの変わり果てた姿を見た社長は驚きと共に激高してしまいます。
「いったいなんの冗談だ！」
当然のことながら、社長はオリナに対してモデルとして活動できない体型を理由に契約を断ってきました。
ある意味で当然のことだ。
ただ…オリナの身体がここまでふくよかになってしまったのには、もちろん理由があるのです。
トップモデルとして過剰なプレッシャーに耐え続けた末にメンタルを壊して不安障害を発症したオリナは、
その治療のために服用していた薬の副作用が原因で太ってしまったのです…（汗）
一年間の闘病生活でなんとか精神状態が落ち着いたことで退院してたのですが、
体重を減らしてゆくのはこれからという段階なのです。
しかし…そんな個人的な事情は、モデル事務所として関係ない話であり、
現在『レーヴプロダクション』のトップモデルとして活躍中の白澤 玲衣（通称：レイ）は、
見る影もなくなった事務所の先輩・オリナを見て、容赦ない辛辣な言葉を投げつけました。
それがオリナの仕事復帰して初日に受けた事務所や同僚たちからの厳しい洗礼だった…。
自分の身体は好き？
社長との話し合いの末、2か月後に開催されるファッションイベント・TLCに、
モデルとして出演できなければ”解雇”という条件で、
なんとかモデルとして首の皮一枚繋げたオリナは、
それから食生活の管理とトレーニングを行ってもとのモデル体型を取り戻すべく懸命な努力を続けます。
そんなオリナの様子をレイを筆頭とする後輩モデル達があざ笑うかのように眺めている。
しかし…オリナは自分が置かれている理不尽な状況をクドクドと説明することはしませんでした。
実際…どれだけ食事管理をして有酸素運動をこなしても、
やはり服用する薬の副作用の影響が大きくて、思うように体重が落ちなかったのです…（汗）
それでも当初は薬の服用を続けていたオリナは、
3週間後には最初の目標体重にしていた60キロ代まで体重を落としたのですが、
まだまだとてもモデルとしてランウエイを歩けるような体系ではありませんでした。
オリナに突き刺さるモデル失格の冷たい視線。
そうこうしているうちにTLCまであと一ヶ月というタイムリミットが迫ってきました。
このままではベスト体重である52キロまで落とすのは不可能と悟ったオリナは、
ついに禁断の手段を使うことにしたのです…（汗）
そう…アレを止めたのだ…。
もう後戻りできない。
｛自分の身体は好き？｝
今のオリナは自分の身体が大嫌いだった…。
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1話の感想まとめ
物語の中で主人公のオリナが異常なまでの執念を燃やして出演を果たそうとしている”TLC”というファッションイベントですが、
恐らくはTGC（東京ガールズコレクション）のことなのでしょう。
数年前までオリナはそのTLCの舞台で一番の輝きを放ってランウェイをカッコよく歩いていた国内トップモデルだったのです。
本作1話の冒頭で描かれているシーンは、オリナが休業から復帰したあとにTLCの舞台へ上がる寸前の光景だと思われますが、
その日、彼女はある分野のモデルとして堂々とランウェイを歩いていました。
あそこまでたどり着くまでに一体どれだけの絶望と苦悩を乗り越えてきたのか…？
その過程を想像するだけで胸がぎゅっと締め付けられる感動を覚える。
もともとは誰もがその完成されたスタイルを羨む国内トップクラスのモデルであり、
若い女性たちはこぞってオリナがモデルになって着た洋服を買い求め、
オリナの身につける物すべてが絶大な宣伝効果となってファッション業界に多大な影響を及ぼしたのです。
オリナを見て多くの少女たちがファッションモデルを目指し、
そのうちの一人が、一年間の病気療養を終えて事務所に復帰したオリナに対し、
辛辣な言葉で批判した現事務所のトップモデルであるレイちゃんです。
これまでずっとモデルとして目標にしてきた尊敬する先輩モデルだからこそ、
オリナのだらしなく太ったように見えるポッチャリとした体形を見て耐えられなかったのでしょう…（汗）
オリナが『不安障害』を患い、薬による副作用で今の体型になってしまったことを知らないレイは、
オリナのふくよかな体型を”怠惰”による結果だと捉えたのです。
オリナの個人的な事情をレイが知らないという時点で、
これまでの二人の関係性が親密ではなかったことが窺えます。
たぶんオリナが休業に入る前のバリバリだった頃は、
まだレイがまともにオリナと会話できるモデルのランクではなかったのかもしれませんね。
「雲の上の存在というやつ」
なので…レイからすると今のオリナは落ちぶれた事務所の大先輩という目線なのだろう。
オリナを尊敬していた気持ちが強ければ強い分、レイのオリナに対する当たりも強くなっているんだろうな～（汗）
そして…レイの間違った解釈を正して釈明しないオリナの性格は、
魑魅魍魎とし人間たちが蠢くモデル業界でトップに君臨していた人物とは思えないほど、気が優しくてお人好しだ…（汗）
人としては素晴らしい常識と人格をもったオリナだからこそ、
皆の期待に応えようと頑張り過ぎて”不安障害”という精神疾患を引き起こしてしまったです。
「症状の完治というより緩和することを目標に…」という医師の言葉は、オリナにとって凄く残酷な診断でした…（汗）
担当医から、
「焦らず病気と付き合ってゆく認識でいてください。」
という助言は、モデルとしては愚か、普通の社会人としても、ほぼ欠格者の烙印を押されたも同然だし、
オマケにファッションモデルを生業にするオリナにとって、
服用し続けなければいけない薬が、代謝の減少と食欲が増進する副作用があるだなんて、
もはやその先には絶望しかない。
それが今現在のオリナがいる立ち位置なのです。
この作品を描くに当たって著者の花影あると 先生は、
モデル業界の様々な仕組みや内情から、プラスサイズモデルという分野で活躍する現役モデルさんを徹底的に取材した上で描かれているようで、
作品には実にリアルな業界の臨場感や、先生の作品に対する強い思い入れがページから伝わってきます。
だからこそ1話でオリナが感じている痛みや苦しみが直に突き刺さってくるのです！
栄光と挫折を味わったオリナが、そこからどのような右翼曲折を経て、
第2のモデル人生へ踏み出し、新たな分野のモデルとして歩みだすのか…？
彼女の物語はまだ始まったばかりです…。
＞＞＞『ALL BE PLUS !』2話の解説と感想はコチラ♪
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