『美醜の大地』
64話の解説と感想です♪
身も心もボロボロになった敏恵がやってきたのは絢子の屋敷だった。
これまでと全く変わらないクールな態度で敏恵の訪問に応じた絢子。
敏恵はこれまで自分が犯してきた罪とハナから受けた被害を訴え、
「昔の幸せだった頃に戻りたい」と願った。
そんな敏恵の悲痛な叫びにもまったく同情した気配を見せない絢子。
そんな絢子に対して敏恵は自身最後となる仮面を絢子からはぎ取ろうとしたのだ・・・(汗)
「これは…ハナにとってはすごく大きな影響が出る二人の潰し合いだ!」
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美醜の大地【ネタバレ64話】絢子さん…あんたの顔をちょうだい!
柏葉刑事からハナが生きている可能性があると聞いた絢子は、
これまでの呪われた過去を振り返って物思いにふけっていました。
息子の妻を奪った末に子供まで孕ませた鬼畜のごとき祖父の血を引き継ぐ自分。
その憎んでも憎み切れない男から、絢子は自分と同じ目をしているなどと言われた。
そんな言葉は屈辱以外のなにものでもない!
例え暮らしは裕福であったとしても、絢子が欲しいと思ったものは今まで何も手に入ったことはない。
優しくて大好きだった母親を筆頭に、大切なもののなにもかもが絢子の前から消えてなくなる。
そんな絶望感にまみれた人生送っていた中で、あの日、ハナと出会ったのだ。
心に1ミリも汚れのない真っ白に光輝いているハナに…。
その時でした。
一人でそんなことをぼんやりと考えていた絢子の前に、
例のごとく人を殺してはぎ取った顔の皮を付けた敏恵が現れたのです(汗)
「久しぶりね…絢子さん」
絢子は微動だにすることなくいぶかしげにその声の主に視線を合わせた。
絢子さん…あんたの顔をちょうだい!
声を聴いてすぐに敏恵だと認識た絢子は、まったく驚く様子も見せずに、
「随分と変わった変装をしているのね」
と…もはや化け物と化した敏恵の姿に怯えることもなく、落ち着いた様子で冗談をブッ込む!
内面だけ見たら絢子こそ本物の化け物かもしれない(汗)
相変わらずクールで何事にも動じる気配のない絢子のそんな態度に、
半ば懐かしさが込み上げてきたのか、まるで堰を切ったごとく、
敏恵はこれまでに自分がたどってきた地獄のストーリーを語り始めました。
人生の転落はハナの復讐を受けたことから始まり、
その後はハナへの復讐のために何人もの人を殺害し、その人々の顔をはぎ取ってきた。
そんな経緯を告白し、後戻りできない人生を悔やみ、昔の幸せだった頃に戻りたいと絶叫した。
その間、絢子はほとんど感情を表に出すことなく敏恵の訴えを聞いていた。
やがて…敏恵が話し終わると、見事にバッサリと敏恵の並べ立てた御託を切り捨てたのです。
すると…
斧を右手に持った敏恵はゆっくりと絢子に近づきながら絢子に声を掛けます。
「ねぇ絢子さん…あんたの顔をちょうだい」
全てに絶望した敏恵は最後に絢子の顔を手に入れようとしていた・・・
ま…まさか…!!
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64話の感想
高嶋家のじいさんはホントにとんでもない悪魔だ。
特にまだ幼い絢子の目の前で彼女の母親を凌辱した光景は、
今思い出しても心を締め付けられるような強い不快感を覚えます(汗)
「人間生きていてあんな地獄ありますか?」
自分の母親が祖父に犯されている光景を見た後に、
その母親が自殺して、父親からは疎まれ、継母から虐待の嵐。
正直…今まで気が狂わずに通常の精神を保っていたことが逆に不思議に思えるくらいの悲惨な人生。
そんな絶望の真っただ中にいた絢子が学生時代にハナと出会ったわけだ。
何一つ汚れることなく、美しい心を持ったあの頃のハナと…。
ハナを目の前にした絢子の気持ちはとても常人には理解できるものではないですが、
ものすごく絢子の心に衝撃を与えたということだけは想像できます。
「これはもうハナの運が悪かったとしか言いようがない(汗)」
あの頃の絢子がハナと出会ってしまったら理屈では言い表せない衝動が込み上げてきたのでしょう。
もちろん…ハナは何一つ悪いわけではないが、絢子にもかなり同情する点があります。
だって…悪いのはすべて祖父と無力な父親なんですから(汗)
結果…この親子がモンスターの絢子を作り出してしまったのです。
なので絢子は高嶋津親子の完璧な犠牲者である。
だからと言って絢子がハナに行った悪魔の所業が許されていいわけがない。
復讐は復讐を生むと言われても、人間には我慢の限度がある。
ハナの復讐が原因で例え敏恵が何人もの殺人を犯す犯罪者になったとしても、
絢子がどれほど不幸な生い立ちが原因でハナを不幸に突き落としたとしても、
ハナの負った心と体の痛みと苦しみは二度と癒えることはない。
今回の絢子と敏恵の直接対決により、そのあとどちらが生き残ったとしても、
ハナは最後の1人まで復讐を止めることはないでしょう。
ただ…
あの化け物化した敏恵と対峙しても、全く動揺する気配がない絢子のメンタルがエグイです(汗)
「なぜあそこまでクールでいられるのか?」
それは恐らく絢子自身の心もすでに壊れているからでしょう。
「そう思うとなんか切ない。」
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