著者:橘オレコ
『ホタルの嫁入り』
7話の解説と感想です♪
あるはずのない酒を口にしてしまった新渡戸の人格が目に見えて変貌してしまった!
その姿形は同じでも中身の性格が全くの別人なのです(汗)
ここまでの変わりようは決して酒乱などという生易しいレベルではない。
本来の新渡戸とはまったく異なる人格のバケモノが紗都子の前に現れたのです。
進平よりも下品で口汚くて暴力的なもう一人の新渡戸。
まさかこれほどまで彼の欠陥は重大なものだったとは…(汗)
残念でしょうがないけれど、このまま新渡戸の身請け話を受けられないと判断した紗都子。
そしてこのあと、ついに進平が登場してとんでもない修羅場に発展していきます・・・
「いくら天女島から脱出するためとはいえ、新渡戸があそこまで人格破綻していたら許容できないね(汗)」
6話の解説と感想はコチラです♪
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ホタルの嫁入り【ネタバレ7話】この男の世話にだけはならない!
この男の世話にだけはならない!
『いせ吉』で働く遊女の嫌がらせで、お茶を酒に変えられた新渡戸の人格が一気に変貌しました。
その変わりっぷりは酒乱などという生易しいモノではなく、
明らかにその人格自体が大きく変わっている(汗)
そう…新渡戸は完全な”二重人格者”だったのです!
警視総監の息子として厳しく育てられた新渡戸は、日常的に強いストレスを受け続けたことで、
自分の心を守るためにもう一人の自分を作りだしてしまったわけだ。
そうして出来上がったのがいま紗都子を暴力で支配しているもう一人の新渡戸だった。
とにかくバケモノの新渡戸は残虐極まりない性格の持ち主で、
紗都子のことを力ずくで弄ぼうとしながら口汚く罵りまくります(汗)
圧倒的な暴力にさらされてなすすべもなくモンスター化した新渡戸に虐待されてゆく紗都子。
この時点で紗都子は新渡戸から身請けしてもらう事を諦めました。
当然だろう。
例えこのまま天女島から出られなくなったとしても、
絶対にこの男の世話にだけはならない!
それほど人格変貌した新渡戸の言動や態度は許しがたいものだった。
もちろんそんな二人の様子は進平が屋根裏からじっと窺っています。
あとはいつ出ていくかのタイミングだけだ。
「助けに来たよ」
新渡戸から着物の胸元を力任せにはだけさせられて見えた紗都子の上半身には、
縦に大きな一文字の手術痕が刻まれていました。
それは恐らく壮絶な心臓の手術で刻まれた実に痛々しい傷痕なのだろう(汗)
その手術痕を目の当たりにした新渡戸は、あらん限りの罵倒を紗都子に浴びせるのです!
傷つき耐えがたい屈辱に晒された紗都子は、怒りと悲しみを必死でこらえながら、
涙ながらに新渡戸からの身請け話を断りました。
しかし…そんな紗都子の態度に逆上した紗都子に襲いかかってゆく新渡戸。
やっとここで今まで二人の様子をじっと見守っていた進平が登場してきます。
「助けに来たよ」
ニョキっと部屋に現れた進平。
ハッキリ言って凄腕の殺し屋である進平ならば、
例え凶暴化した新渡戸であっても切り捨てることは造作もないことだ。
現に部屋に入って来てから一瞬のうちに彼は新渡戸の背後に回って刀を抜いている。
そして進平は落ち着いた様子で紗都子にこう伝えるのです。
「こいつはやめにしておこう」
当然の結果だ。
あとはバケモノに変わった新渡戸にどう始末をつけるかだ。
力ずくで押さえ込んで本来の新渡戸に戻るまで待つのか?
それとも怒りモード全開でサクッと切り捨ててしまうのか?
進平が現れたことで命の危険がなくなった紗都子の判断は?
いろんなオチが想定される中で待っていたのは予想外の展開でした。
一体なにが起こった…?
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7話の感想
新渡戸は酒乱ではなく”解離性同一性障害”を患っていたという事ですね。
確かにあれほど悪い人間に変貌してしまうと厄介極まりないことだ(汗)
現代の医療では治療方はいろいろと見つかっていて完治が出来ないというわけではありませんが、
本作の舞台である明治時代においてはこの奇病を完治させることはほぼ不可能に近いでしょう。
恐らく不安や興奮を鎮めるための薬もまだ開発されていないだろうし、
『解離性同一性障害』という病名もまだ学術的に発見されていないでしょう。
だからこそ新渡戸は酒乱というただ酒癖が異常に悪い男として回りから認識されていたのです。
6話の感想でサイト主のまるしーは、進平と駆け落ちして過ごすよりも、
家柄も良く素面の時は真面目て穏やかな新渡戸と結婚する方がいいと言いましたが、
「完全に前言撤回だな!」
酒乱と解離性同一性障害では、紗都子への危険度が段違いに変わってしまいます。
酒乱は酒を飲むことで性格が変貌する体質に対して、
二重人格は新渡戸の中にもう一人の新渡戸が存在するという障害だ。
心に強いストレスを受ける生活を続けた新渡戸が、
自分の心を守るためにその防波堤としてあのようなバケモノ新渡戸を作り出してしまったのです。
なので…
酒乱は酒を飲ませないことで周りの人間が制御することはできるが、
紗都子や周りの人間が新渡戸の怪物化を人為的に止めることが出来ないわけで、
結婚して一緒に住むことになると、いつ紗都子が新渡戸からの被害に襲われるか分からないのです。
さすがに”身請け”してもらうだけでも新渡戸はヤバいかもしれない(汗)
まだメンヘラの殺し屋のほうが紗都子の精神的にも肉体的にもましだな。
ある意味で究極の選択だけど新渡戸はリスクが大きすぎる。
あと…
この7話を読んでかなり印象に残ったのは紗都子の体だ。
心臓に重い病を患っていることは知っていましたが、
あれほど上半身に大きな手術跡があっただなんて驚きでした(汗)
まだ若い嫁入り前の娘としては絶望的に悲惨な状態です。
どんな手術を何回すればあれほど大きな傷跡が残るんだろう?
しかも…
そんな紗都子の手術痕を見てバケモノ化した新渡戸は、
「なんて醜い…」「女として致命的だ」とか、
「着物を脱ぐたびに男が萎えるだろう」とか、
絶対に紗都子が言われたくないセリフを連発するんです(汗)
恐らく紗都子からしたらこれほどの屈辱と辱めはなかったでしょう。
まるしーは同じ女性としてこのシーンはまともに見ていられなかった(汗)
さすがにバケモノ化している時だとはいえ、ここまで酷い罵り方をされて、身請けしてもらう事なんてできない。
まるしーもきっと紗都子と同じ判断をしているはずだ。
あれはホントにありえない。
そして…
二人のそんなやりとりを進平はずっと天井裏で聞いていたはずなんです。
「どうするんだろう?」
最後には八つ裂きにして新渡戸を殺しちゃうのかな?
なにせ溺愛して病まない紗都子をまるでボロ雑巾のように扱ったわけですから、
新渡戸を今後も生かしておく必要性が進平には全くないだろう。
やっぱりバッサリいっちゃうのかな?
すごくこの先の展開が気になります(汗)
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