あの名作が、新しいドラマになって帰ってきた!
今度のダンボール少女は番号で呼ばれていた!
不幸の連鎖はそう簡単には断ち切れないのか?
158番と呼ばれた少女
著者:真田魔里子
『新・ダンボールで育った少女』
あの『ダンボールで育った少女』の第2弾がリリースです!
今度のストーリーはサイコにしてヒューマンサスペンス。
悲しみと絶望。そして凄まじい怒りが、きっとあなたをの心をエグるでしょう!
新・ダンボールで育った少女とは
2016年に発売された『ダンボールで育った少女』という短編作品が好評だったので、
今回の新シリーズは長編作品として連載が始まったのです。
なので、この1巻ではお話が終わりません。
「しかもこのタイトル絵が絶望的にスゴイ!」
親のネグレクトや無責任の極致で、不幸にもダンボールに捨てられた少女の物語。
親が親でなく、人が人でない平成の世の中。
一体何人の子供たちが、ゴミ屑のように捨てられているのでしょう。
今回は、子供の虐待やネグレクトがテーマになっていますが、
そこに加えて、闇ビジネスや、子供を金儲けに利用する完全な犯罪者の側面を持つ人間も現れ、
ただの虐待マンガのカテゴリーには収まらないサスペンスヒューマンな内容になっています。
なので、読み進めるごとにドキドキした展開と、
信じられない方向へと進むストーリーに心は釘付けになってしまいました。
しかも・・・
この物語は1巻で完結することなくまだまだ続いていきそうなんです。
基本テーマが、子供への虐待やDVという重苦しい内容にも関わらず、
その背景の先にはもっとドス黒いヒューマンでドラスチックな闇が広がっているので、
読んでて、絶望的で背徳的な設定やストーリーにスゴく魅せられてしまうのです。
不謹慎かもしれませんがスゴく面白いです!
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新・ダンボールで育った少女【ネタバレ】158番と呼ばれた少女
物語は衝撃的なシーンから始まる。
不衛生極まりない公衆トイレで、ひとりの女子高生がお産しようとしている。
「マジー!サイテー」
妊娠した恨み言の言葉を叫びながら今、少女は一人で元気な女の子を産み落とした。
また、この世に一人、望まれない子供が生まれてしまったのだ。
産後の喜びも疲れもすっ飛ばして、女子高生はすぐに細々(こまごま)と動き出した。
お産前に確認した作業。
空のダンボールを広げて内側の発泡スチロールの中に生まれたばかりの赤ちゃんを入れる。
赤ちゃんの回りに緩衝材(かんしょうざい)をかましてしっかり固定し、ガムテープで封を閉じる。
あとは宅配便の送り状を書いてコンビニで出荷。
なるべく腐らないようにクール便で送ると、送料は1620円だ。
一連の作業が終わると作業はすべて完了だ。
{終わった~♪これで普通の女子高生に戻れるんだ~}
女子高生・せりかは『新生児産み捨てサイト』に指定されたとおり赤ちゃんを宅配便で送ると、
その足で妊娠させられたカレシ・悠馬(ゆうま)のもとへ駆けつけて、激しく抱かれた。
『新ダンボールで育った少女』はこんな衝撃的なシーンから始まる。
問題は、生まれてすぐ、ダンボールで送られた新生児の届け先だ。
果たして赤ちゃんは生きているのか?
密封された上に、ただの”生もの”として梱包され、発送されていった人間の赤ちゃん。
簡単な登録だけで赤ちゃんを引き取る『新生児産み捨てサイト』とは一体どんな闇組織なのか?
これから158番と呼ばれた少女の過酷すぎる人生がスタートする。
サイコ・虐待・サスペンス・そして、ヒューマン。
さまざまな要素が絡み合った極上の人間ドラマが幕を開けた・・・
158番ちゃん
ある大学の宅配荷物受け取り所で、あの日、女子高生が送ったダンボールは受け取られた。
そう・・・
『赤ちゃん産み捨てサイト』という闇サイトの運営者は、某医学部の研究員として働く女性だったのだ。
冷泉(れいせん)あぐり。
彼女は虐待する母親と継父のもとで育った過去を持ち、
小学生時代に死んだ両親に代わって実父の裕福な祖父母のもとで引き取られて成長した。
彼女は今、大学で専用の研究室を与えられ、再生医療の研究員として働いている。
そして、副業として運営していたのが闇サイトの『赤ちゃん産み捨てサイト』だった。
彼女はこのサイトで全国から生まれたばかりの人間の赤ちゃんを引き取っていたのだ。
世の中、親の自覚がなく無責任に子供を産み捨てる母親は後を絶たない。
彼女のもとには連日に渡ってダンボールに詰められた生まれたばかりの子供たちが届けられる。
届けられた子供たちはなんの処置もされずダンボールに入って発送されるので、
殆どの場合、息絶えた状態であぐりのもとに届く。
彼女は、そんな子供たちの臓器を摘出し、闇のルートを通じて高額で販売していたのだ。
そして、今日もあぐりのもとに一人の子供が届けられた。
物語の冒頭で、女子高生・せりかに産み落とされた赤ん坊だ。
自宅にダンボールを持ち帰ったあぐりはワクワクしながら届いたダンボールを開けた。
すると・・・
なんとまだ赤ん坊は生きていたのである。
母親の血で汚れた顔をクシャクシャにして元気に泣いている。
{当たりだ!生きて届いた!}
いつもメガネをかけて仏頂面のあぐりもこの時ばかりは大口をあけて喜んだ。
「すごいじゃない材料158番ちゃん♪」
あぐりは赤ちゃんを管理する通し番号で、血に真っ赤に染まった赤ちゃんに話しかけた・・・
絶望の日々が始まる
ドナーの素材として届いた158番の赤ちゃんだったが、無邪気にあぐりの指を掴んでくる仕草を見て、
今まで感じたことのない母性が目覚めたあぐり。
「育ててみようかな…」
母親に虐待されて育ったあぐりは、母親からいっさい愛情というモノを与えられずに育った。
{私があなたを幸せにしてあげるわ。}
あぐりは、何も知らず元気に笑う158番の赤ちゃんに母親の顔で語りかけた。
そして・・・
翌日から、あぐりにとって初めての育児生活が始まる。
見よう見まねで、赤ちゃんにミルクを与えるあぐりだったが、すぐにミルクを吐き出してあぐりの服を汚した。
生まれたばかりの赤ちゃんなら当然のことだが、
ただの興味本位で赤ちゃんを育てているあぐりにとっては許されない愚行だったのだ。
「なんで人が飲ませてやったミルク吐くのよ~!」
「この馬鹿~!」
容赦ないあぐりの罵倒が、158番と名付けられた赤ちゃんに突き刺さる!
顔を歪めて泣き叫ぶ赤ちゃん。
この一件がきっかけで、あぐりは普通に赤ちゃんを育てることをやめた。
彼女は薬を使用して、人間の赤ちゃんを大学の研究に使用するモルモットのように飼育し始めたのだ。
生きてゆく最低限の食事を与え、言葉を喋ると対応が面倒なので、赤ちゃんには一切話しかけなかった。
時が経ち、やがて158番と名付けられた少女は自分で立って歩ける歳までに成長した。
ただ・・・
その姿は、髪の毛が無く、異様にやせ衰えたテレビで見る宇宙人のような姿だった。
言葉を知らず、生まれてから一歩も外へ出ることなく成長した158番は、もはや人間の子供ではなかった。
あぐりに徹底管理された言葉を喋らない人間の姿をした無様なペットだったのだ・・・
少女にとって絶望的な日々が続く…
少女は人となった
ネグレクトとも呼べない残酷な方法で158番を飼育するあぐりだったが、
ちょっとしたミスで、158番を家の外に逃してしまう。
すると、異様な姿をした158番を見て、通行人が警察へ通報し、
なんと・・・
あぐりは警察に捕まってしまうのです。
凶悪なサイコ犯罪者として取り調べを受けるあぐり。
その後、
158番は無事、児童養護施設に保護されました。
これで158番の運命は幸せな方向へ向かってゆくのか?
と思っていた矢先に、またいろんな問題が発生してゆくのです。
とりあえず、158番と呼ばれていた少女は、
施設の人間から青山希(あおやまのぞみ)と名付けられたのだ。
これでやっと少女は人となったのである。
いよいよ始まった少女にとって第2の人生。
彼女を待ち構えている過酷な未来には一体どんな絶望が・・・?
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『新・ダンボールで育った少女』 の感想
正直、最初にリリースされた『ダンボールで育った少女』を読んだ時はそこまで衝撃を受けなかった。
よくある虐待系の短編ストーリーという感想だったんだけど、
今回の新シリーズはまったく予想をくつがえす面白さだった。
まず、長編作品だということにビックリして、物語を読み進めることでその意味が分かった。
この作品は、ただの虐待系マンガではなく、壮大な人間ドラマとなっていたのです。
虐待あり、犯罪あり、複雑な人間ドラマあり、
なんだか一番勢いのあった頃の『昼ドラ』で放送されてたようなドラマチックな人間ドラマが展開されています。
始めは158番として育てられ、今度は邪な考えを持つ大人たちに青山希という名前を与えられて地獄のような世間へ放りだされる。
これ、全て世の中の大人たちが一人の人間にしでかした無責任な行為だ。
責任のない人間が寄り集まったらこんなふうになっちゃうのね。
ただ・・・
冒頭のお産シーンから、施設での光景まで…ものすごいドラマチックなストーリー展開で、
「まったく退屈してる暇なんてありませんでした!」
とにかく先が気になってたまらない。
不謹慎かもしれませんが、ここまで背徳的なシーンが続くと、持っていた道徳感が麻痺してくるようで、
もっともっと残酷で絶望的な展開を期待してしまうまるしーがいるんです。
倫理的にいろんな問題があるかもしれない本作ですが、
変に正義感ぶったネグレクトマンガに比べたらよっぽど面白い内容だと思います。
今は、続きが気になってしょうがない状態だ♪
>>>『新・ダンボールで育った少女』6話の解説と感想はコチラ♪
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