妊娠したら死にたくなった【26話ネタバレ感想】医療保護入院から任意入院へ

『妊娠したら死にたくなった~産褥期精神病~

26話の解説と感想です♪

「この症状は私の産後そのものだ!」

任意入院となった千夏が外出先の本屋で見た衝撃の文献は、これまでずっと判らなかった症状の明確な答えを出してくれた!

ついに長い長いトンネルの出口がハッキリと見えた…?

ここからいよいよ本格的な病状の克服劇がスタートします!

26話の見どころ

前回の25話で自分の発作が激しくなるのは生理の周期と密接な関係があるのではと気づいた千夏でしたが、

この26話でついに彼女は自分の力で”産褥期精神病”という病名にたどりつきます。

しかも、その答えは担当医からではなく自身の感覚を発端に見つけ出したもので、分厚い産前産後の精神疾患を紹介した医学書のわずか半ページに紹介された解説だった。

そしてその1ページにも満たない情報量の病名が、千夏の真っ暗闇だった闘病生活に大きな希望の光をもたらすこととなったのです。

26話の見どころは、もちろん千夏が苦しんでいた症状の正体が分ったことですが、

それと…精神を病んでしまった人間が、普通に外の道を歩くことの困難さですね…。

健常者で健康状態の人ならばなにも気にならない街の喧騒が、

心を病んだ患者たちにはそれが頭の中で鳴り響く爆音に感じてしまうという恐怖…。

この作品で千夏の苦しむ姿を見てきたことで実に精神病という病は恐ろしいものだと改めて感じさせられます。

このリアルな辛い闘病記を漫画という媒体で余すことなく表現された著者の橘ちなつ先生に敬意を表するとともに、

私たち読者が通常では知りえない闘病の実態を教えてくれたことに深く感謝したい。

自身が体感したことのない病気を知るためには、

実際に体験した人の話を聞くのが一番だという事に改めて気づかされました。

『症状に波があるという事が”生理”と密接な関係がある。』

これって…答だだけを聞いてみるとなんでもっと早く気づかなかったんだろうと思うくらいシンプルで腑に落ちる原因です。

でも…それって苦しんでいる本人はもちろん様々な患者を診察してきた医師でさえも気づかないことだったんですよね。

「それが実に生々しい・・・」


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妊娠したら死にたくなった【26話ネタバレ感想】医療保護入院から任意入院へ

医療保護入院から任意入院へ

「任意入院に切り替え?」

その日、院内の廊下をウォーキング中だった千夏は、主治医からかなり症状が落ち着いてきたので、

医療保護入院から任意入院切り替えてもいい頃だと打診されるのです。

任意入院になると自分の意思で好きな時期に退院できるのです。

千夏はその場でお願いしますと即答しました。

ただ…今度ばかりは完全に病状が完治するまで入院するつもりだった千夏は、

その後…自由になった時間を使って院内にある図書室で様々な医学書を読み漁りました。

自分の症状を医学的見地から探ろうとしたのです。

さらに、自分の精神が不安定になる時期が生理と密接な関係があるはずだと考えた彼女は、

過去に自分が1年半続けていた基礎体温の記録を家から夫の涼太に持ってきてもらい、

これまでの自身の症状と照らし合わせて一つの仮説を導き出したのです。

「今度わたしがおかしくなるとしたら2週間後だ」

最近までまともに会話すらできなかった千夏が、今は自身の病状について冷静に分析までしている姿に驚く涼太がいた・・・


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26話の感想

人が体に生じた異変に苦しみ、そこから完治に向けて治療してゆくうえで一番重要となることは、

その苦しみ、疾患の原因が解り、病名がちゃんと診断されることだ。

この物語の主人公である千夏が自殺を考えるまで自分の症状に苦しんだ原因はそこにある。

自身の心と体を苦しめている敵の存在がまったく解らなかったからだ!

人は誰しも体の具合が悪くなった時に、その原因と病名を知るためにまず病院へ行く。

そして…医師の診断を受けてその原因と病名を聞き、そこから適切な治療を医師から受けて症状が改善してゆくわけです。

だけど、千夏の場合、これまでずっと症状の原因も病名もわからないままで、ただただ原因と病名を知るための実験的な治療が続いていました。

「自分の未来に絶望するのは当たり前の話だ」

しかも…今まで自分に襲い来る不安な症状や発作に対応するだけで全神経と体力を消費していたので、

冷静に自分の症状と向き合う余裕なんてまったくなく、ひたすら出口のないトンネルの中を無我夢中で走っているような毎日を送ってきたのです。

プロの医師にも分からない千夏の症状の原因と病名。

そもそも医師は外から千夏の症状を見たり聞いたりしているわけだから、本当に千夏の体がどういう状態にあるのかは正確には把握しきれていない。

「あくまでも医師は治療の手助けをする人。」

その言葉がすんなり理解できるのはこういう千夏のような患者を見た時だと思う。

結局…自分の体のことを一番よく知っているの自分であって、

その病状を体感している患者が冷静に体の中の異変や変化をどれだけ正確な言葉にして医師に伝えられるかが完治への重要なポイントだと思う。

特に分かりやすい外科の治療とは異なる精神疾患の場合、患者から出される情報は、医師にとって症状を改善する重要なヒントに繋がる。

今回…かなり症状が落ち着いてきた千夏は自分の頭で自分の病気と向き合う余裕ができたことで、

結果的に問題解決へと近づく重要な糸口を見つけることができました。

そして、現代医学においては病名が判明した病気には大方その治療法が存在しているはずであり、

ここから先はものすごく早いスピードで一気に完治の方向へと進んでゆくのではないでしょうか?

「なんか…すごくホッとした気分だ」

ゴールが見えたような気がした。

>>>『妊娠したら死にたくなった』27話の解説と感想はコチラ♪

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