『シジュウカラ』
8巻の解説と感想です♪
ついに洋平との協議離婚が成立した忍。
待ち焦がれた自由を手にした瞬間、思いもよらない再会が忍の心を大きく惑わせる…。
大きな夫婦の修羅場に直面した忍がついに離婚届を洋平に突きつけた!
今や忍の扶養家族となっていた夫の抵抗が激しくて・・・
8巻の見どころ
アラフィフ主婦のジュクジュクな愛憎劇をこれでもかというほどの臨場感で描くこの『シジュウカラ』。
主人公と同じ世代に生きているサイト主のまるしーにとって、まさにライフワークな等身大コミックとして欠かせないお気に入り作品となっております。
千秋という若いイケメンとの年の差恋愛を除けば、自分的にはリアル度ナンバーワンなオトナコミックだ。
中でも主人公夫婦である忍と洋平の生々しいやり取りは彼らと同じ世代の人間として何とも言えない哀愁がある(汗)
見ていてとても切ないけれどその言葉の一つ一つが胸に刺さってくる!
子供が独り立ちをする年齢までに差し掛かった夫婦の第3形態な関係に、
こえから二人きりで暮らしてゆくと思うと「ゾッ」っとする妻の思い(汗)
忍の色んな思いが嫌というほどよくわかる気がする。
物語として決して気持ちのいいストーリーではないものの、
すごく引き付けられる怪しいパワーを秘めた良作だと思います。
そこで8巻の見どころですが、今回は洋平が色々と大人げないことをやらかしてくれてます。
妻が夫に三下り半を突き付ける最高に面白いシーンが特に見どころとなります。
「というか個人的に好きだ♪」
妻から離婚話を切り出された夫・洋平の未練がましい抵抗に鳥肌が立ち、
息子が離れて暮らすようになってからドンドンと自分を押し殺していた欲望を解放させてゆく忍。
このリアルなアラフィフ女の乱れてゆく様子が楽しくてしょうがない♪
「非常にいいです♪」
離婚も無事成立したし。
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シジュウカラ【ネタバレ8巻】手に入れた自由と不安!
26話:頬杖
結婚一年目の記念日としてケーキでお祝いしようとはしゃぐ千秋の妻・みひろ。
千秋は自分の作品のファンだった、みひろと一年前に結婚していたのだ。
二人が結婚するまでの経緯は詳しく描かれてはいないが、恐らくワケアリな状況だったことが推測される。
さらに…この夫婦にはかなりの温度差があるようで、妻のみひろが千秋へ抱く愛情がそうとうに激しい。
その反面、千秋はいまだに忍とのことが吹っ切れていないらしく、人知れず忍の作品やSNSに発信された忍の情報を入手しては、
どこかのタイミングで忍との接触を図ろうとしているふしがあったのです。
そんなある日、
みひろはいくつかの点で千秋が忍のことを好きなのではないかという疑念を持つようになった・・・
場面は変わって次は忍と岡野がファミレスで仕事の打ち合わせをしているシーンが映し出される。
深夜にトツゼン合鍵を使って忍の仕事部屋に入ってきた洋平のことを警戒して、
これからは仕事部屋ではなく外で仕事の打ち合わせをすることにした二人だった。
その打ち合わせで忍は彼女が執筆している漫画のことで岡野から意にそぐわない指摘を受ける。
岡野が分かりやすい「型」にはめ込もうとするのは自分に才能がないからであって、彼に悪気はない(汗)
よく判っている。
そう思いながらもどこか虚しい気持ちになる忍。
そんな中、久しぶりに関西の大学へ通っている息子の悠太が帰省してきました。
甲斐甲斐しく息子の世話を焼く忍はすっかり母親の顔に戻るが、
改めて息子がいないと夫婦で会話する話題すらないことを思い知らされた忍だった。
完全に夫婦は終わっている。
その後、悠太が就寝のために自分の部屋へ入ってゆくと同時に忍も自分の部屋で仕事を始めました。
昼間、岡野に言われたことをもう一度頭の中で反芻(はんすう)し、
頬杖をついてじっくり自分のこれからの人生を思い描いてみたのです。
そんな時でした。
忍の携帯に一件のダイレクトメッセージが・・・
27話:ともしび
夏休みで実家に帰省していた息子の悠太が大阪に戻っていった日、
忍は悠太から自分のことで父親と離婚しない理由にしないで欲しいと告げられます。
悠太がまだ多感な中学生時代ならば子供のために離婚しないという理由は親として真っ当な考え方かもしれないが、
息子もう大学生となり親元を離れて一人暮らししている状況であるならば、
息子に遠慮するかたちで愛してもいない洋平と離婚しないでいる忍の気遣いは無意味なのかもしれない。
もちろん忍も悠太が大学生になって実家を出た時点で夫との離婚を考えなかったわけではないし、
大病をしたあとずっと家にいる夫との息が詰まる毎日に絶望を感じていたのも事実だ(汗)
離婚するために頑張ってきた漫画家としての活動と、
夫の介護や家事の忙しさでついつい夫婦のこれからを冷静に考える余裕がなかったのも真実である。
今回こうして悠太が両親の離婚問題について意見を言ってくれたおかげで、
忍はずいぶん前に離婚を決意して区役所でもらっていた離婚届を取り出して真剣に考え始めたのです。
するとその後、洋平が外食中にたまたま声をかけてきた女性と知り合いになり、
その女性が経営するスナックで酒を飲んで帰ってきた洋平と激しい口論になった。
洋平が離婚届を手にして考え込んでる忍を目撃してしまったからだ(汗)
この言い争いでついに忍と洋平の夫婦関係は風前のともしびとなってしまったのです(汗)
28話:澱(おり)
突然のDMから数日後、忍は千秋の妻だと名乗る みひろ とカフェで会っていました。
「渡したいものがある」
と彼女からメールで言われていたのだ。
自己紹介の後、みひろは忍のファンだと言ってメモ帳をだしてサインが欲しいと言ってきた。
たっぷりと時間があったにもかかわらず、色紙にではなくメモ帳にサインを求めたというう部分に みろの千秋に対する敵対心を感じた(汗)
結局、みひろがしたかったことは3年前に千秋が出したエッセイ本を忍に渡すことだったのです。
もちろんそれは忍に会うための口実でしかない。
その本の見開きページには「忍さんへ」というサインが書かれてあり、千秋がずっと忍に渡そうとして渡せなかったモノだ。
忍と千秋の間には みひろが知らない深い絆があると睨んだ みひろは、忍と直接会って確かめたかったのだろう・・・
忍の反応を。
忍はそんな みひろの意図に気付き、みひろの発信する「千秋に近づくな」という内心の意思を感じ取ったのです。
みひろと別れた後、忍は岡野を呼び出して都内のビジネスホテルで濃密な時間を過ごした。
洋平に疑われだしてからも岡野との関係は続いていて、最近では岡野が忍にプロポーズまでしている。
その後、岡野と別れて忍が家に帰ると洋平が
「悪かった」
と言って忍に暴力をふるったことを土下座して詫びました。
このあと、二人はこれまでにない夫婦の重い修羅場を迎えることになるのですが、
夫・洋平の一言をきっかけにして忍は結婚してからずっとため込んでいた心の中の澱(おり)をすべて洋平に吐き出した。
それでも洋平は忍の言っている意味がよく理解できず、
この瞬間、忍は洋平にはっきりと離婚の意思を伝えるのです。
このシーンは『シジュウカラ』において重要な見せ場となるので詳しくは本編現物でお楽しみください♪
この時、同時に千秋とみひろの家でも静かなる夫婦の修羅場を迎えていました・・・
29話:欲張り
「えっ!離婚するの?」
いきなりの告白で友人をびっくりさせる忍。
結局…夫婦の修羅場を乗り越えて建設的な関係を維持してゆくことができないと判断した忍は、
洋平との離婚を決意したのです。
忍は友人に離婚の決意を伝えて励ましの言葉をもらったあと、
一番言いづらい相手である大阪に住む息子の悠太に離婚する連絡を入れました。
その後、忍は友人の助言通り離婚に応じてくれない洋平と家で会うことはせず近所のカフェで話し合いの場を持った。
洋平は自分も浮気していたことは棚に上げて、忍の不貞を見逃す代わりに家の財産を渡さないことと、大学に通う悠太の学費は忍が払えと言いだしました。
しかし…もともと大学の学費はずっと忍が出していたことを知らされ恥をかいた洋平。
その理不尽すぎる彼の離婚条件をすべて受け入れた忍の態度に腹の虫が収まらず、
カフェからの帰り道で歩道橋の欄干によじ登り、
「お前と別れるくらいならここから飛び降りて死んでやる!」
と…自殺をほのめかしたのである。
幸いそこへ一人のサラリーマンが通りかかって洋平を欄干から引きづり下して事なきを得たが、
そんな夫の無様な姿を目の当たりにした忍は、
「死ぬなら誰にも迷惑をかけずに一人で死んで」
と…冷たく言い残してその場を去っていきました。
その後…むしゃくしゃした洋平は行きつけのスナックでママに優しく諭(さと)され、
数日後…洋平はサインした離婚届を忍に郵送しました。
晴れて独身となった忍は、岡野から一緒に暮らそうと同棲を申し込まれるが、
今はこれ以上の欲張りな行動は控えようとする忍がいました。
そんな中…岡野に誘われて出席した出版社主催のパーティで忍はある人物と衝撃の再会を果たすのです。
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8巻の感想
恥も外聞も捨て去って橋の欄干によじ登ってまで忍との離婚に抵抗した洋平の惨めな姿。
忍の思っていたように、ここまで女房に捨てられるのが嫌なんだったらどうして忍から浮気を指摘された時にちゃんと向き合わなかったのか?
「あの時は本当に申し訳なかった」
その一言でよかったのに。
この謝罪だけですべてがチャラになるわけではないが、少なくとも長年にわたって苦しんできた忍の気持ちは少しでも癒されたはずで、
もしかしたらそこからまた新しい夫婦の絆が築けていたかもしれない。
一人息子のためにもするるべきだったはずだ。
自殺未遂までして忍との離婚に最後まで抵抗した洋平がその日に行きつけのスナックのママに、
ちょっと甘い言葉を言われただけですぐに離婚届にサインして送ったあのバカさ加減にはさすがに震えが来ました。
忍がもしその経緯を知ったら恐らくもっとゾッとしただろう。
「私はこんなバカな男と何十年も夫婦してたんだなぁ~」ってね…(汗)
傍から見てても情けなくてキモくて最悪なニオイがしてきそうだ。
「この夫は普通にゴミだ」
そんなゴミ男と四半世紀ちかくも一緒にいた忍は後悔してもしきれない気持ちなんだろうな~
だから岡野みたいなキモい同級生とも不倫しちゃうわけで、
しなくていい険しい人生の道を自ら選んで進んでいるような女性だ。
そもそも旦那に支配されるような人生を送ってきて、流されるなら流され続けてればいいのに、
中途半端な気持ちで自分革命をおっぱじめたもんだから弱いメンタルを痛めちゃうんです。
「これも全部、千秋という若きイケメン君のせいだけど…」
まぁ~
忍の気持ちは色んな部分で凄く理解はできるんだけど、共感できない部分もいっぱいある。
まるしーなら中途半端に千秋とイチャイチャしないし、岡野みたいな男に誘惑されたりもしたくない。
夫の洋平とは体を壊した時点できっと離婚している。
忍の辛い心情はめちゃめちゃ理解できるけど、彼女の行動にはまったく共感できない(汗)
だからこそこの物語が余計に面白いと思えるわけで・・・
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