著者:辻やもり
『卵と鶏』
もしも…独身女性のアナタに突然”息子”を名乗る年上の男性が現れたらどんなリアクションをとりますか…?
「お母さん…僕アナタの息子です」
これは普通に考えてありえない状況です…(汗)
もちろん聞かなかったことにして無視をする。
その場ですぐに警察へ通報するする。
とりあえず動画を撮って後々の証拠にする。
悲鳴を上げてその場から走り去る。
恐らく両手を広げて会いたかったとハグをする女性など一人もいないでしょう。
この物語は、主人公の鈴原 鳴海が、街中でトツゼン自分より2才年上の男性から、
「お母さん…僕あなたの息子です!」と声を掛けられたことから始まるタイムスリップ・ヒューマンストーリーです。
時空を超えて過去に来た2つ年上の息子と出会い、失敗するはずだった人生を共に変えていく、
親子?の数奇な愛情物語…?
これぞ”辻やもり”作品と思わずうなってしまう「辻ワールド」全開のタイムスリップな人間ドラマです♪
もくじ
- 1 『卵と鶏』見どころ
- 2 卵と鶏【ネタバレ解説】未来から来た息子は2つ年上!
- 2.1 1話:未来から来た息子
- 2.2 2話:慶と逃避行
- 2.3 3話:ワケアリ姉妹
- 2.4 4話:妹の家で居候
- 2.5 5話:詩帆の願い
- 2.6 6話:惨たらしい親子の再会
- 2.7 7話:呪われたルーツ
- 2.8 8話:俺の父親が俺…?
- 2.9 9話:実の母親
- 2.10 10話:嫌な思い出しかない実家
- 2.11 11話:鳴海と詩帆
- 2.12 12話:父の憎悪
- 2.13 13話:母子手帳
- 2.14 14話:母・鳴海と過ごした日々
- 2.15 15話:自分の父親が自分
- 2.16 16話:西暦2053年6月
- 2.17 17話:回光市
- 2.18 18話:それらしき人物
- 2.19 19話:24年ぶりに再会した実母
- 2.20 20話:深い決別の言葉
- 3 『卵と鶏』の感想まとめ
- 4 『まんが王国』で無料試し読み
- 5 『卵と鶏』を読んだ人にお勧めの作品
『卵と鶏』見どころ
今回サイト主のまるしーが紹介したいほろ苦い大人のヒューマンコミック『卵と鶏』とは?
芳文社が発行する漫画雑誌『週刊漫画TIMES』で連載中の青年漫画で、
2024年03月03日から、老舗の電子コミックサイト『まんが王国』で先行配信がスタートしたすごく話題の作品なのです!
なんといっても本作の著者が、現在『日本テレビ』で放送中のドラマ、『めぐる未来』の著者・辻やもり先生なのでございます!
「まさに時の漫画家さんです♪」
残念ながらまるしーは原作コミックの大ファンなので、ガッカリするのが嫌だな~という思いから『ドラマ版』の方は観ていないのですが、
原作漫画の『めぐる未来』にはハマりまくった読者でございます!
内容はタイムリープ・サスペンスな夫婦の感動ドラマなのですが、もし…まだ原作マンガを読んでいない方がいらっしゃいましたら、
単行本で全5巻という最高の長さの完結済み作品なのでぜひ読んでみて下さい♪
ファンタジックな人間ドラマ
今回まるしーが紹介した辻もりや先生の新連載マンガですが、前作の『めぐる未来』がタイムリープ・サスペンスならば、
今作の『卵と鶏』はタイムスリップ・ヒューマンと言える作品だと言えるでしょう。
似ているようで全く違う二作品♪
まぁいずれにしても時空を超えたヒリヒリと胸に刺さる感動の人間ドラマが描かれている部分は似ているのですが、
まさに”辻もりやワールド全開”の人間の感情がむき出しになった生々しい人間ドラマがたまりません!
ラブラブでキュンな恋愛漫画や、恥ずかしくなる溺愛ラブストーリーとか、はたまたドロドロの不倫愛憎劇なんかの王道の恋愛シリーズに飽きてきた人には是非とも読んで欲しい。
本作の見どころは今まで読んだことのないファンタジックな人間ドラマでございます。
不思議でかつ感動的なヒューマンストーリー堪能させてもらいましょう…。
やっぱり才能ある漫画家さんの作品はキッチリと面白いです♪
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卵と鶏【ネタバレ解説】未来から来た息子は2つ年上!
1話:未来から来た息子
その日、主人公の鈴原 鳴海(26歳)は街でトツゼン見知らぬ若い男性から声をかけられました。
まるで奇をてらった新手のナンパのように、
「俺はあなたの息子の鈴原 慶です…お母さん…!!」
はい…!?
ちなみにこの時の鳴海のプロフィールは、
同棲しているカレシがいる26歳の会社員であり、もちろん結婚歴もお産歴もない…(汗)
まさか未来の息子がタイムスリップして独身時代の母親と再会したなんて話を信じるはずもない。
無言でその場から立ち去る鳴海。
だがどう見ても慶の態度や振る舞いがふざけているように見えない。
恐らく本当に”未来から来た息子”なのだろう。
翌日も慶は鳴海に自分の身分証を見せて息子であることを分かってもらおうとするのですが、
もちろん鳴海には怖がられるばかりで埒が明かない。
そのうちに鳴海と同棲中のDV彼氏・加賀拓郎が現れて、慶がそのカレシボコボコにされてしまいます…(汗)
確かに慶はヤバい男であることは間違いないのですが、息子だと言い張る彼が鳴海に訊ねてた「母さんは今 幸せですか?」という言葉が妙に心に刺さり…。
2話:慶と逃避行
慶のことを息子だとまったく信じたわけではなかったが、取るモノも取らずにDV彼氏の拓郎に別れを切り出して、
逃げるようにその場を離れた鳴海にとって唯一頼れるのは慶だけだったこともあり、とりあえずしばらく慶と逃避行を続けることにした鳴海です。
鳴海の別れたカレシ・拓郎は起業家の御曹司であり、その高いプライドを傷つけられた彼は、
きっと鳴海と慶のことを許さないだろう。
とりあえず少しでも早く東京から離れなければいけない。
とはいえ…慶は未来人だから頼れる友人はこの世にいないし、鳴海にもこんな時に頼れる友人はいない。
鳴海には”複雑な関係の家族”はいるがものすごく折り合いが悪い…(汗)
どうしたものか…?
悩んだすえに鳴海が連絡した相手は…
3話:ワケアリ姉妹
鳴海が助けを求めて連絡をした相手は、3才年下の妹・詩帆でした。
鳴海と詩帆は”異母姉妹”で、昔からほとんど仲良く接した思いではありませんでした。
鳴海がまだ幼い頃に両親が離婚して、引き取られた父親がすぐに再婚した女性の子供が詩帆であり、
鳴海は家族の中でつま弾きにされていた厄介者のポジションだったのです。
要するに鳴海は実の父親と継母からまったく愛されない悲惨な少女時代を過ごしてきたのです。
なので鳴海としては両親から溺愛される詩帆のことを妬ましく思っていたが、詩帆はというと、実は鳴海のことを秘かに慕っていたのです。
そんな経緯のある”ワケアリ姉妹”が、数年ぶりに再会することとなったわけですが…。
4話:妹の家で居候
詩帆と同棲中の恋人・安道 明彦が気の良い人物で、鳴海と慶を快く家に迎えてくれたことで、ひとまずは妹の家で居候させてもらえることになった二人です。
とりあえず慶のことは複雑なので”田中”という名前の友人ということにしておいた。
この4話の冒頭では、慶が未来から2023年にタイムスリップした当時の状況が少し描かれています。
やはり慶は本当にタイムスリップしてきた鳴海の息子でした。
一方…これまでほとんどちゃんと向き合ったことのない異母姉妹の姉との距離感に戸惑いを隠せない詩帆。
確か母親の話で聞いた姉の近況は、社長の息子との婚約が決まったというものだった。
それならばなぜ鳴海は婚約者ではない男性と一緒にトツゼン仲良くもない妹を頼ってきたのか…?
5話:詩帆の願い
「お父さんと…お母さんに会って欲しいの」
詩帆はいま同棲中の明彦との結婚がすでに決まっているらしく、近々お互いの親族が顔合わせをする予定になっているので、
その場に鳴海も姉として参加して欲しいというわけだ。
鳴海にとっての両親は、実の母親を妊娠させて捨てたろくでなしの父親とその再婚相手でしかなく、今となっては顔も合わせたくもない戸籍上の両親なのです。
しかし…詩帆にとっては全く逆で娘想いの優しい両親なのです。
そこでいい機会だからなんとか両親と姉が折り合いをつけて、共に自分の結婚を祝って欲しいと思ったわけで、
そんな詩帆の願いは決して非常識なお願いではありませんでした。
そう…詩帆は悪くない。
でもどうしたって自分を家族の輪から排除し続けた両親を許せない鳴海は…
6話:惨たらしい親子の再会
鳴海と慶にとって最悪な事態が起きてしまった…(汗)
なんと…4人での夕食時に詩帆と明彦を訪ねて両親がトツゼン家にやって来たのです。
昼間に詩帆から頼まれても両親とは会えないと言ったばかりの鳴海でしたが、その罰が当たったのか、神様は実に惨たらしい親子の再会をさせたわけです。
鳴海と母親は会った瞬間からお互いに戦闘モードへ突入しております。
母親は鳴海を冷たい目でみながら”あなた”と呼び、鳴海は睨みつけるような目つきで母を”あんた”と呼ぶ、
この親子が再会するのは鳴海が大学進学以来かなり久しぶりのことだが、親子の関係性はまったく変わらず険悪のひとことだ。
両親が部屋のあがったタイミングで鳴海はわざと母親をイラつかせる言動を発して、
キッチンを張り詰めた空気にすると、母親は詩帆と明彦に気を使って鳴海に家の外で話そうと提案します。
鳴海としても世話になっている妹カップルに母親とのケンカはさすがに見せられないと思い、
大嫌いな両親と家の外で話すことにしました。
そしてこのあと…
鳴海はこの虐げられ続けてきた両親から”衝撃の事実”を聞かされることとなります…(汗)
7話:呪われたルーツ
継母からアナタは実の母親が”不倫”した末に生まれた子供だと吐き捨てられた鳴海。
これは鳴海にとってかなりダメージの大きい衝撃の事実です…(汗)
継母の話によると鳴海の母親は鳴海を父に押し付けて不倫相手と駆け落ちしたらしい…。
今まで知らなかった真相にさすがの鳴海も表情を強張らせましたが、
その話を聞いてようやく鈴原の家で鳴海が疎まれ続けてきた理由を理解したのです。
なんてことはない…鳴海だけが家族でまったく血のつながりのない赤の他人だったわけだ。
自身の”呪われたルーツ”を知った鳴海の胸は痛んでザワつき、やがて感情が爆発して父親の腹部を蹴り上げ、そのままどこかへ走り去ってゆく鳴海。
大嫌いな両親と血が繋がっていなくて清々したと言いつつも、実際の彼女は悲しみに暮れて嗚咽しながら号泣している。
そんな彼女の肩をギュッと抱きしめてただ黙って寄り添う慶。
いまこの地球上で鳴海と血が繋がっいているのは息子の慶ただ一人…。
8話:俺の父親が俺…?
鳴海が泣いている姿を見て慶の脳裏にぼんやりと浮かび上がった少年の日の記憶。
まだ幼い慶が遠き日に見た父親の顔は鳴海の元カレ・拓郎ではなく、今より少し歳を重ねた自分自身だったのです…(汗)
{えっ…俺の父親が俺…?}
どういうことだ…。
鳴海と一緒にいれば父親の正体が分かると思っていたのに、いったい何がどうなってるのか分からない慶の動揺が激しい!
そんな中、両親とのいざこざもあって詩帆の家で厄介になっているのが気まずくなった鳴海は、
その夜だけ泊めてもらって翌日には出ていくことを妹に伝えました。
もちろん鳴海が出ていくと言ったのは、両親とのことが原因だと思っている詩帆は、
慶に鳴海と両親の間で何が起こったのかを尋ねるのですが…?
9話:実の母親
鈴原家の両親とはまったく血の繋がりがなかったことを知った鳴海は、
世話になっている詩帆の家を出て、鳴海を産んで3歳の頃にいなくなった”実の母親”を探すことにしました。
もちろん慶も鳴海に同行することになります。
慶としても自分がもといた世界にもどる手掛かりが何もみつからない今は、唯一の肉親である母親と離れることは得策ではありませんし、
自分の父親が一体誰なのかを知る必要があったからです。
鳴海が出発することを告げると、親切にも最寄り駅まで鳴海と慶を車で送ってくれた明彦と詩帆。
この時…姉になにか言いたげな詩帆に鳴海がかけた別れの挨拶は、「末永くお幸せに」というまるで永遠の別れを感じさせるような言葉だった…。
10話:嫌な思い出しかない実家
実の母親に関する情報を何ひとつ持っていない鳴海は、
鈴原の父親から聞き出そうと実家を訪れたのですが残念ながら両親は不在だった。
しかし慶がベランダ側の窓が開いていることに気づいて、鳴海が一人で部屋の中へ侵入することにしました。
慶は見張り役だ。
数年ぶりに入った嫌な思い出しかない実家の部屋でフラッシュバックする当時の辛かった思い出…。
ずっと孤独と共に生活していた散々な日々だった…。
そんな辛い記憶しか残っていない部屋の中を物色して実の母親に関する手掛かりを探していると、
父親の部屋から封筒に入った数十枚の昔の写真が出てきました。
どれもこれも詩帆がメインで写っている写真のようですが、よく見るといろんな写真に同じ人物が写り込んでいるのです…。
{なんかおかしい…}
その時です!
焦った表情の慶が鈴原の両親が帰ってきたと告げに来たのです…!
「えっ…!?」
11話:鳴海と詩帆
11話の冒頭は、鳴海と詩帆の小学校時代に起こったあるトラブルのエピソードが描かれています。
子供の頃から鳴海と詩帆の姉妹関係にはずっと大きな壁が存在しており、その壁を作っていたのは自分だと自覚して後悔している詩帆がいました。
家庭内では両親から虐待に近い差別的な扱いを受けていた姉を庇うことなく、寄り添うこともせず、
ただただ両親が望む良い子な娘を演じ続けてきた詩帆。
そんな彼女が今回のお話では、後悔してきた姉や両親との関係に自分なりの決着をつけるべく、
勇気を出して”自分の殻”を破る行動を起こします…。
なんだ…詩帆っていい子じゃん…。
12話:父の憎悪
鳴海の味方についた詩帆のおかげで父と二人だけで話をする時間がもてた鳴海は、
先ほど実家のタンスを探って見つけた写真の女性について父親を問い詰めたところ、その女性が鳴海の母親であることを暗に認めたのです。
ただ…父親は鳴海の母についての情報を一切語ろうとせず、「わからない」という無責任な単語を繰り返しました…。
しまいには鳴海の実の母親のことについては考えたくもないし吐き気がするとまで言い出す始末で、
そんな鳴海の母親に対する父の憎悪をくみ取った鳴海は、嫌なことを思い出させてゴメンと謝り、写真を持って実家を後にしました。
その時、父の脳裏には、生まれたばかりの鳴海を抱いている自分の姿が浮かんでいた…。
もしかすると…父親にも本当は鳴海に言いたくても言えないなにか重要なメッセージがあるのかもしれない…。
13話:母子手帳
実家を後にして間もなく鳴海を追いかけてきた父親から手渡された鳴海の実母・鈴原響子の母子手帳。
その母子手帳の中には実母・響子の本籍や当時の住所、妊娠した年齢など、さまざまな個人情報が記載されていました。
その一つ一つの情報を食い入るように見ていく鳴海は、今一人でカフェにいた…。
一方…鈴原の実家付近で鳴海を待っていた慶でしたが、ちょうどその時、パトカーに乗った警官と目が合った気がして、彼は咄嗟にその場から全速力で逃げ出していたのです。
それからひたすら走り続けた結果…気づいたら慶は鳴海を見失ってしまった…。
このあと必死で鳴海のことを捜索して、なんとか鳴海との再会を果たしたのですが…
14話:母・鳴海と過ごした日々
まだまだ慶の存在を胡散臭い人物だと疑っている鳴海に語った自分自身の過去。
それはすなわち慶と母・鳴海と過ごした日々のことです。
どんな事情があって鳴海がシングルマザーになったのかは不明ですが、慶が幼稚園に通っている頃からすでに母一人子一人の母子家庭の生活でした。
まだ幼い慶の目を通して見ていた当時の母・鳴海は、仕事と家事と子育てのトリプルワークにいつも疲れ果てていた様子で、
そんな肉体的にも精神的にもまったく余裕のない鳴海の顔色を常に窺いながら言いたいを我慢して過ごしていた子供の頃の慶がいたのです…。
だからといって鳴海が慶を虐待したり、子育てを放棄していたわけではないのですが、
慶の記憶の中にいる母・鳴海は、タイムスリップした彼の目の前にいる若い鳴海のようなパワフルで強い女性とはまるで別人でした…。
この第14話のラストには耳を疑うような慶の発言があります…!
15話:自分の父親が自分
なんと…真剣なテンションで自分の父親が自分かもしれないと鳴海に伝えた慶。
しかし、そもそも慶がタイムスリッパーだということ自体を信じていない鳴海にとっては、また変なことを慶が言い出したくらいにしか受け取りませんでした。
確かに、彼が言っていることは「自分が自分の父親だ」という考えるだけ無駄な話であることは間違いありません!
なのに、だからといって慶を追い払うことはせず、公園で野宿をしようとしている慶の体調を心配して自分が宿泊するマンガ喫茶に彼の部屋を取ってあげる鳴海。
明らかに得体のしれない怪しい存在である慶といつまでも行動を共にしているのは、同じDNAを持つ親子だからなのか…?
このあと、鳴海が持っていたある物を見た慶が驚きの表情を見せるのですが、彼はいったい何を見たのでしょう…?
16話:西暦2053年6月
この第16話では慶がタイムスリップする以前に生存していた西暦2053年6月の世界が描かれています。
約ひと月前に突然息子の慶が行方不明になったことで警察に慶の捜索願いを出す憔悴した様子の鳴海が描かれています…。
あるマンションの付近で忽然と消息を絶った息子を当てもなく探し続ける母親の鳴海。
この日、鳴海は慶が姿を消した付近に出向いて道行く人に聞き込みをしていました。
すると…鳴海が声をかけた中で気になることを言った年配の女性が一人いました。
その年老いた女性いわく、慶が姿を消した場所はとある神社の跡地であり、昔からその土地の辺りでは子供が突然いなくなる神隠しのような現象が起きていたという“不吉”な内容だったのです、
まったく何の根拠のない噂レベルでしかない年配女性の話でしたが、実際に自分の息子が神隠しにあった状況にある鳴海とすれば、バカげた内容とは思えない心境でした…。
17話:回光市
鳴海は慶と共に生みの親・鈴原響子を捜すために、母子手帳が発行された回光市へやってきました。
何の手がかりもなくやみくもに道行く人へ響子のことを尋ね歩きますが、まったく成果はありません。
鳴海は、一週間ほど回光市のホテルに滞在して実母を捜す予定を考えており、慶の分も部屋を取って捜索に励んでいました。
そんな中、鳴海は例の母子手帳に挟まれていた安産祈願のお守りが買われた神社へ行ってみたところ、
取り壊し前の神社をボランティアで管理している老人に声をかけられ、話を聞いてみると、
驚いたことに一昨日、響子らしき人物を目撃したというのです…。
{えっ…!? まさかもう見つかった…?}
この後…慶が精力的に夜の町を捜索して…
18話:それらしき人物
鳴海と慶が回光市に鈴原響子を探しに来て6日目を迎えた夜、ついにとあるバーの客にそれらしき人物を見つけた慶は、
その女性が店を出たタイミングで声をかけて接触を試みます。
すると…その女性はスナックで働く出勤前のホステスだったため、慶は都合よく同伴出勤のお供をさせられることになりました。
このとき鳴海に借りた所持金も底をつきかけていた慶ですが、客としてなら女性から自然に話が聞けると考え、
バーのマスターから鈴原ではなく「楠(くすのき)さん」と呼ばれていた目の前の女性に、聞きたいことを尋ねていきます。
果たして…慶が目星をつけた楠という女性は、鳴海の実母なのでしょうか…?
ようやく鳴海の母親探しもここまできました…。
19話:24年ぶりに再会した実母
幼い頃の記憶をたどり、3歳の頃に実の母親と過ごしていた日々を思い返していた鳴海。
その回想に浸っていた彼女を現実に引き戻したのは、楠響子の携帯を通じて電話をかけてきた慶の一言でした。
「母さんの母さんを見つけました…。」
この言葉に、鳴海の胸は高鳴り、すぐさま響子が働いているスナックに駆けつけます。
しかし、24年ぶりに再会した実母を前に、言葉が出てこない鳴海。その場で最初に反応したのは、母である響子でした。
「鳴海…?」
響子は鳴海が店に入ってきた瞬間、自分の娘だとすぐに分かったようです。
しかし…響子にとってこの再会は喜びではなく、むしろ「罪悪感」が押し寄せる残酷な瞬間であり、
我が子と顔を合わせることが、彼女には何よりも耐え難い苦痛だったにちがいない。
その証拠に響子は鳴海を認識すると反射的にその場から逃げ出そうとしたのです…。
けれども…そんな響子の腕をしっかりと掴んだのは慶でした。「待ってください、逃げるんですか?」彼の声が響き、鳴海の代わりに響子を引き留めた…。
ここから、母と娘、24年という長い時間を経て交錯する複雑な感情がぶつかり合ってさらに深い人間ドラマが展開されていくのです…。
20話:深い決別の言葉
鳴海が24年ぶりに実の母親と再会したとき、彼女の胸にあったのは、意外にも「虚無感」でした。
「ごめんね…鳴海」
母・響子が土下座しながら謝罪する姿を目の前にしても、鳴海の心は無反応。
怒りも悲しみも湧かず、鳴海は自分にとって実の母親はもう「他人」 なのだと認識します。
たとえ血の繋がりはあったとしても、心の距離はどうにも埋まらない。その冷え切った感情が、鳴海の決断を後押しします。
再会を果たしたものの、彼女はほとんど会話を交わすことなく、母・響子の前を立ち去ります。
その際、鳴海が響子に向けて発した最後の言葉は、当事者にしか理解できない重みを持つものであり、これ以上ない深い決別の言葉が、響子の胸に刻まれます。
こうして、期待と不安が入り混じって始まった母親探しの旅は幕を閉じました…。
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『卵と鶏』の感想まとめ
本作の『卵と鶏』と『めぐる未来』もそうなのですが、
辻やもり先生が描かれる物語の導入部分がすごく刺激的でドラマチックな始まりであり、
一瞬にして読者の心を捉えて離さないシナリオが凄いです。
特に今作の『卵と鶏』は、いきなり見知らぬ同世代の男性から「お母さん」と声を掛けられる主人公・鳴海のびっくりシーンで物語が始まるのです!
こんな始まり方をされたらもうその続きを読まずにはいられないじゃないですか…(汗)
スタートからわずが3ページ目で早くも辻ワールドにどっぷり引きずり込まれる仕掛けになっているのです!
しかも”タイムスリップ”という設定の使い方が実に巧妙ですし、
現実にはとてもありえない未来からタイムスリップした慶くんの言葉を、
当然のごとくありえないものとして進んでゆく物語の流れが逆にリアリティを感じさせるという秀逸のストーリー運び。
頑なに慶の言うことを信用しない鳴海の態度が凄く生々しくて良いです。
どの時点で鳴海が慶を”タイムスリッパ―”として認識するかのタイミングは、
この物語においてすごく重要な部分だと思いますし、時期によっては作品全体の印象も変わってしまうでしょう。
さて…鳴海は一体どの時点で慶を自分の息子だと認識するのか…?
「注目のポイントです。」
この物語のベースにあるのは、誰がどう見ても不幸過ぎる境遇に生まれ、
ずっと辛く惨めな人生を歩んできた鳴海が、本来はそのまま不幸な道を突き進むはずだった27歳以降の最悪な人生を、
未来からタイムスリップしてきた息子と共に幸せな人生へと変えてゆくお話であり、幸せ探しのヒューマン物語だ。
だからとにかく主人公・鳴海の生い立ちから27歳までの人生が悲惨この上ない設定で、特に6話で鳴海の知らなかった衝撃の事実が分かった瞬間などは、
胸がムカムカするほど読んでいて辛く切なかった…(汗)
サイト主のまるしーからすると、鳴海の中途半端に気が強いくせにガラスのハートな部分に少しイラつき、慶の29歳にしてはかなり未熟な言動や行動に怒りを覚えました。
アラサーなのに高校生みたいな慶。
もっと言葉を尽くして鳴海に自分の状況をちゃんと説明すればいいのに…。
母親を助けたいと思うならもっと彼ができることはたくさんあるのに。
とにかく物語の前半は慶のもどかしい言動や行動にイライラしっぱなしのまるしーでした…(汗)
これだけまるしーがこの奇妙な関係の親子を見ていてストレスを感じるのは、明らかにどっぷりとストーリーにハマっている証拠でしょうね。
まだまだこの記事を書いている時点ではストーリーの序盤にすぎませんので、これから本作はもっと複雑に泥臭い人間ドラマが展開されていくはずです。
鳴海と慶にこれからどんな未来と困難が待っているのか…?
もう見届けるしかありません。
もちろん購読決定でございます。
「メチャクチャ面白い♪」
追記1
第14話を読んでの感想ですが、ラストページで慶が鳴海に言った父親の存在に震撼です…(汗)
このパターンって映画『ターミネーター』のやつですよね!
「頭がこんがらがるやつだ!」
なんとなくそんな予感はしてたんだけど、まさか本当にその可能性があったとは…。
でも…本当に慶の父親が〇〇なんだとしたら、世の中の摂理がまかり通らずに…
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このお店は、電子コミックサイトでは老舗のコミックサイトで、
サイト管理人のまるしーがいつも利用してるお店の一つです♪
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主人公の26歳独身。大学で出会い付き合って5年の彼氏がいる。結婚を前提に去年から同棲を始めるが、その頃から拓郎はDVの本性を見せはじめる。2023年5月(令和5年)息子?と出会う。
鳴海の息子?29才。令和37年の未来から来たと身分証を見せる。生年月日は令和6年3月20日生まれと記されていた。
有名企業の社長の息子。気に入らない事があると鳴海に暴力を振るう。
鳴海の妹。血のつながりは無い。23歳。生まれつき病弱で入院治療にお金がかかった。鳴海を慕っている。
詩帆の彼氏。近々結婚する予定。
鳴海の実の母親。