著者:ヤナギナギ
『名も知らず』
2話の感想です♪
この匂いは間違いない…。
18歳の冬に私を凌辱してうなじを噛んだαの男だ…!
保育園でトツゼン熱を出した鈴をかかりつけの病院まで迎えに行った彩音は、
そこでどんでもない人物との再会に全身の震えが止まらなかった…(汗)
診察室の椅子に腰かけたその男は、鈴を抱いて彩音が来るのを待ち構えていました。
なんで今ごろになって…?
まさか私たち親子をずっと探して…。
彩音の脳裏にグルグルとかけめぐる男の思惑。
一体これからどんな展開が待っているのか…?
「5年の時を経てついに彩音と鈴の前に姿を現したα性の男はなんとハイスペックな青年医師だった…。」
1話の解説と感想はコチラです♪
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『名も知らず』2話の感想|受け入れろとは口が裂けても言えない!
『名も知らず』2話の感想
相馬はほとんど本能で鈴が自分の娘だと感じ取っていたけれど、確信にまでは至ってなかったようですね。
彩音の反応を見て自分の子だと確信したみたいだけど、
α性の特性として自分の子だと判断できるシナプスみたいなものはないってことかな。
その反対に、Ω性の彩音は相馬を見た瞬間に自分を犯したα性の男だと認識しました。
彼女が感じたのは相馬から放出されているα性の独特な”匂い”でした。
彩音にとっては名も知らぬ望まない相手に無理やり凌辱されて番いにされてしまった憎き相手だけに、
その感覚は”嫌な匂い”という嫌悪感に結びつくものとなる。
これがもし惹かれ合うαとΩの組み合わせだと”魂の番い”という最高のカップルになるわけで、
本作がベースにしている【オメガバースの解説書】には、
そんな魂の番いが生まれるケースはごく稀だと書いてありました。
ということは、ほとんどケースは彩音と相馬のように、
望まない相手同士の突発的に生まれた番いカップルになってしまうということかな…?
「αとΩの人生って切ないね。」
確かに相馬がヒート状態になって彩音を襲ってしまった時、
彼には人としての人格はなく、ただの獲物を狙う”獣”でしかありませんでした。
発情期のΩが放出する”性フェロモン”を受けたαが、ヒート状態を発動してしまうと、
もはやΩがどれだけ抵抗しても、事を収めるのは不可能という事ですよね。
常にΩ性は弱い立場の女性で、αはつねに男性のようですし、
発情時期に遭遇したが最後で、その二人は番いとなってしまう可能性が極めて高い…(汗)
確かに彩音にとっての相馬は、二度と顔も見たくない狂暴なレイプ犯でしかないだろうけど、
通常時の相馬は普通に社会人としての常識があり、社会的地位の高い医師という職業にある男性です。
悲しいかなα性の特性としてトツゼン発情期を迎えた彩音の”性フェロモン”を食らったがゆえに、
あの夜は自我を失ってα性が持つ本能のままに彩音を襲い、うなじを噛んでしまったのです…(汗)
なので別の側面から見たら相馬もα性の被害者でもあるのです。
彼が望んでそうなったわけではないのだから…。
だが…彩音からすると相馬はただのレイプ犯でしかない。
この辺の複雑な構造がこの物語の最大にして最高のテーマなのです!
最初に相馬が診察室の椅子に座って鈴を抱いている光景は、とんでもなくホラーなショッキング映像でしたが、
本能のなせる結びつきで相馬の腕に抱かれてスヤスヤと眠っている鈴を見た時には、
この二人の様子が全く違うものに見えました。
「親子の微笑ましい光景…?」
だからこそ彩音は全身を振るわせて恐怖に怯えまくっていたのです。
どう気持ちの整理をつけようと、どれだけオメガバースのメカニズムを理解していようと、
無理やりに自分を凌辱した相手を許し、子供の父親を名乗らせることなんてできない!
もちろん彩音の立場に立つとそれは当たり前の感情です。
しかも…相馬が彩音と鈴の前に現れたのは、事件のあった日から5年も経ってからの事で、
今さらなんで関わってくるんだと嘆く彩音の気持ちは痛いほどよく分かる。
でも…悲しいかな愛する娘は相馬のことを最初から本能で父親だと認識しているようで、
なおかつ相馬が自分の口から鈴にその事実を伝えてしまったわけです。
2話のラストシーンで相馬が彩音に告げたセリフがすごく残酷に聞こえましたね…(汗)
あれってやっぱり相馬も意図しない相手と番いになってしまったことを後悔しているがゆえの提案だったのかな…?
それともここまでの自分に対する彩音のリアクションを見て、
彩音との結婚生活を諦めて鈴だけを死守しようと判断したのか…?
彩音以外の人物と話している相馬の態度や、鈴と会話している優しそうな相馬は、
実に紳士的で心優しい男性に思えるので、今の彩音と相馬のギスギスした関係性が口惜しい…(汗)
だからと言って彩音に相馬のことを理解して受け入れろとは口が裂けても言えない。
相馬のせいでこれまで彩音はどれだけ苦労して鈴を育てて来たことか…!
ホントこのマンガは難しいテーマを描いた社会派オメガバース作品でございます。
読んでいると背筋がゾクゾクとしてきます(汗)
相馬が圧倒的な地位と財力を持っている点でも、彩音は忸怩たる思いに苦しむんだろうな~
とっても胸が締め付けられるような2話の内容でした。
つくづく著者のヤナギナギ先生が天才だと感じさせられた
ちょうどいいさじ加減の残酷ヒューマン・ストーリーだ。
内容的な面を考慮すると不謹慎な感想かも知れないが、
「最高に面白い…。」
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