著者：木元紀子
『ご恩返し、いたします』
5話の解説と感想です♪
ユキが何か困っていることはないですかと尋ねても、
今は楽しくやっているから大丈夫と笑顔で答えた森尾でした。
でも実際のところは楽しさとは程遠い森尾の厳しい日常生活の現状でした（汗）
クズな夫と結婚したがゆえに諦めざるを得なった自分のパン屋を持つという夢や、
離婚してからも続く元夫からの脅迫めいた金の無心など、
結婚後に変ってしまった森尾の人生は、かなり想像していた未来とは違ったものであり、
今回はそんな森尾をさらに地獄へ突き落す不幸な出来事が彼女を襲い、
もはや生きていること自体が辛くなる事件が連発してしまうのです（汗）
そうなってくるとやはりユキとハルの出番が必要になってくるわけだ。
ついに…セレブ姉妹の”森尾救済計画”が動き始めました。
「悲しいかな今の日本では、元クズ夫から森尾家族を救うべく正当な法律手段は無いに等しいのが現実だ！」
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ご恩返し、いたします【ネタバレ5話】生きること自体が罰ゲーム！
残酷な仕打ち
とうとう森尾が恐れていたことが現実のものになってしまった。
なんと…森尾の長男・徹（とおる）に決まっていた就職先のレストランが彼の内定を取り消しにしたのです（汗）
なぜ…？
理由は離婚した森尾の元クズ夫だ。
こともあろうにこの元夫は徹が内定を受けた働き先のレストランで”無銭飲食”を働き、
店のオーナーから咎められて飲食代を請求されると、
息子の給料から「天引きしろ」などと横柄な態度で言い放ってそのまま逃走を図った！
その結果…徹の内定は取り消しになったのです。
就職するはずだった店のシェフに憧れて夢にまで見た内定を勝ち取った徹は、
その理不尽きわまる理由で内定資格が立ち消えになったことに大きなショックを受けました。
その後…長男は自分の未来に絶望して引きこもり生活に突入してしまうのです…（汗）
なんと残酷な仕打ちだろう。
森尾は徹の母親として息子にまで被害を及ぼした元夫を許せない気持ちでいっぱいになる。
だが…
そんな最悪なタイミングで森尾自身には信じられない朗報が届きます。
彼女が勤めている運送会社の社長から、森尾への転職話が持ちかけられたのです。
もちろんそれは解雇という類の転職ではなく、
『HANAOグループ』でパンを商品開発するチームスタッフとしての引き抜きでした。
そうです…ユキとハルの会社だ。
でもなぜ会社にとって貴重な戦力である森尾の引き抜き話に社長がこれほど前向きなのか？
それはもちろん森尾の人柄の良さや、彼女が昔からパン屋になりたかったことを社長が知っていたという理由もあるが、
『HANAOグループ』は森尾の引き抜きに応じてくれるお詫びとして、
安定した大口の仕事を運送会社に依頼する約束をしたのです。
なので森尾は今いる会社にまったく罪悪感を抱くことなく大好きなパンを作る仕事に復帰できるというわけだ。
とっくに諦めていた夢の仕事が再び森尾に微笑みかけてくれたのです。
森尾の心は激しく動揺しました。
生きること自体が罰ゲーム
勤務する運送会社の社長から夢のような引き抜き話を打診された森尾でしたが、
夢破れて引きこもり生活を続ける長男を差し置いて自分の夢を叶えることを心苦しく感じた彼女は、
とりあえず引き抜き話を”保留”してしまったのです（汗）
心情的にしょうがないのかもしれない。
するとその数日後、
また不幸な出来事が森尾に降りかかってきました。
彼女の勤める運送会社に空き巣が入って金庫ごと盗まれてしまう事件が起こったのです。
さらに監視カメラの映像に映し出された犯人の姿を見た森尾の顔から血の気が引いてゆく（汗）
その人物は森尾の元夫だった。
これまでずっと今の会社と社長にお世話になって来た森尾としては居たたまれない気持ちなり、
社長や警察官たちのいる前で号泣しながら土下座して謝罪するのです。
もはやHANAOグループからの引き抜き話だとか言ってる状況ではなくなった（汗）
森尾の中では何としても元夫がやらかした罪の償いをするつもりであり、
これでパンの仕事をする夢は完全についえた。
｛私の人生はいつもこんなもの。｝
森尾の瞳からは止めどなく涙がこぼれ落ちる。
まるで生きること自体が罰ゲームかのごとく不幸な出来事の連鎖に絶望する森尾。
だが…
もちろんそんな大ピンチに陥った森尾を見殺しにするはずがないセレブ姉妹である。
二人はまさに怒り心頭の気持ちで”森尾救済計画”及び、
森尾の元夫に対する”制裁計画”の実行に移りました。
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5話の感想
今回起きた一連の出来事で何が恐ろしい事かっていうと、
森尾の元夫が”無敵の人”だということです。
この男にはすでに守るべき家族も友人もなくてお金もなく自分さえどうなってもいいと思っている。
社会の一員として生きることから外れた人間ほど厄介な存在はない（汗）
そして…
悲しいかな今の日本ではこういう”無敵の人”を正当にとりしまる法律も条令も存在しない。
だからこれまで真っ当に生きてきた森尾親子は、警察からも行政からも裁判所からも救済されることなく、
離婚して無敵の人となった元夫に人生を台無しにされてしまうのです（汗）
こんな理不尽な事ががまかり通ってしまうのが今の世の中だ。
息子の就職が内定したレストランに息子のツケで飲み食いする明らかに常軌を逸した離れて暮らす父親。
もはや社会常識の範疇を超えた世界で生きている無敵の人。
怒りを通り越してただただ茫然だ。
徹くんの内定を取り消しにしたレストランのオーナを責めることはできない。
誰だって犯罪者の父親を持つ人間を雇うのは不安だろうし、無理に雇う義務もない。
現に徹の父親の犯した犯罪でレストラン側には多大なる迷惑をかけてしまっているわけで、
「徹とレストランの両者が被害者なのです。」
無敵の人からターゲットにされた不運というしかないのが答えであり、
それ以上でもそれ以下でもない。
もし…このあと元夫が警察に逮捕されたとしても、その罪は軽犯罪の”食い逃げ”で終わる。
息子の人生を台無しにした大きな罪が問われることはないのです。
例え無銭飲食より遥かに大きな重罪だったとしても・・・
「世の中はホントに理不尽だ。」
徹くんの心中を察すると余りにも可哀想で涙が出てくる（汗）
コツコツと努力を積み重ねた末に勝ち取った夢にまで見た就職先の内定が、
まったく自分とは関係ないことで取り消されてしまったのです。
夢や希望を諦めるなと言う方がどうかしている。
徹くんが引きこもり生活に入ったのは当然の結果です。
そして…
悲しいかなその責任の一端はもちろん森尾にもあり、彼女はあまりにも元夫に対して無力すぎた。
確かに無敵の人となった元夫から完全に身を守るのは並大抵の事ではありませんが、
これまで元夫から金の無心をされて森尾が受け入れていた経緯があります。
あれは明らかな恐喝行為であり刑法犯罪に当たるはずだ。
もしその時のやり取りを音声録画して警察に証拠として届けていたら、
元夫に対する”接近禁止命令”の申し立てはできたはずです。
その後に元夫がこの命令に従わずその先も森尾親子に接触してきたら、
ようやく元夫に刑事罰を受けさせることができるのです。
法律知識の乏しい森尾がそこまでするのは費用も手間もかかって大変なことだけど、
子供の未来を考えるならば、そこまでしなければ無敵の人から大切な子供は守れない。
「悲しいかなそれが今の現実だ。」
これだけ世間でストーカー被害やストーカー殺人が頻繁に起こっても、
被害者を守る効果的な法律も手段も見つけられていない今の法整備では、
自分を守れるのはやはり自分の行動と覚悟でしかないのです。
今回の森尾親子に起きた不幸な出来事の数々は、
決して他人事ではないことを我々も胸に留めておかなければいけません。
私たちも何かの偶然で無敵の人たちから恨みを買ってしまったら一瞬で地獄行きです（汗）
例え平和な日本で暮らしていても「一寸先は闇」だという事を忘れてはいけない。
世の中には例え明らかな被害者といえど、法で守られない罪はたくさん潜んでいるのです。
さて…
にっちもさっちもいかない最悪な状況に追い込まれていしまった森尾ですが、
この後、全ての伏線を回収するような恩返しプロジェクトが派手に展開されるはずです。
次の6話で恐らく【森尾円花 編】が完結すると思いますので、
いま激怒りしているセレブ姉妹の活躍を大いに期待しましょう♪
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