著者:音中さわき / 宮之みやこ
『黒妖の花嫁~忌み嫌われた私が冷酷大尉に愛されるまで~』
この世界は二つの種族が仮初の共存を選択して暮らしている大和場帝国(やまとばていこく)という名の日本とそっくりな異世界。
大和場帝国では太古より人間と宵に住む夜妖人(やようじん)という種族が存在していて、二つの種族は長いあいだ主権を巡って争いを続けていましたが、
ある時、外国からやって来た黒船の襲来を受けたことにより事態は一変し、必要に迫られて人間と夜妖人は休戦協定を結び、協力して外敵から国を守ることにしました…。
それから数十年…
見せかけの平和な世の中に生きる人間と夜妖人が心の内では反目し合いながら生活していところでこの物語の幕開けです…。
主人公の少女・小山内郁(こやまうちいく)は、髪も瞳も透き通るような白い異形の容姿を持って生まれたせいで、
家族からは「まるで夜妖人のようだ」と罵られ、虐待を受けながら使用人のごとき扱いを受けて育てられてきました。
この物語は、そんな不幸な星の下で生きる少女が、やがて名家のイケメン次期当主に見初められ、最初こそ愛のない政略結婚の生活を送るものの、
徐々にお互いを知っていく中で愛し愛される夫婦になっていくシンデレラ・サクセス・ストーリーです…♪
本作が人気オリジナル漫画原作者の宮之みやこ先生の最新作という点が特に見逃せない注目ポイントでございます!
黒妖の花嫁【1話】ネタバレありの感想|人間と夜妖人、そして愛のない政略結婚
人間と夜妖人
1話から「さすが宮之みやこ先生の世界観」と、圧倒されるドラマチックな仕掛けが施されたストーリーに感激でございます。
まずもって物語の舞台となる架空の世界・大和場帝国(やまとばていこく)という日本の明治時代を思わせる“和風ラブファンタジー”な設定がすごくワクワクさせてくれますし、
先にみやこ先生のオリジナル原作でリリースされて大ヒットしている『龍神の最愛婚 』も古来の日本を舞台にした和風ラブファンタジーとはまた違い、
今作の『黒妖の花嫁』はそれから少し時代を進ませた日本の明治時代を想定して作られた異世界ストーリーなところが凄くいい!
普通に明治時代が好きなサイト主のまるし―にとっては願ってもない時代背景の設定で、最初から満足度UPな状態で読み始めた本作でございました。
さらに実際読み始めてみると、やはりみやこ先生の作り込んだ緻密で奥深いストーリーの厚みには相変わらず感動させられます。
特に“人間と夜妖人”の絶妙に距離を保って反目し合っている関係性がじつにリアルで生々しく、
そもそもは争う関係性だった人間と夜妖人が外敵要因によつてしかたなく手を結ぶなんて経緯は真実味があってゾクゾクする。
こういう細かい部分の設定に手を抜いてないところや矛盾がないところがみやこ先生原作のたくさんある素晴らしい点の一つです。
人間と夜妖人が共存して暮らす社会。
そもそも“宵に住む夜妖人”とはどういった種族なんだ…?
宵の時間ってことは日暮から夜中までの間を指す言葉だけど、夜妖人はドラキュラ伯爵のように夜にしか活動しない種族なのでしょうか?
いや…郁の腹違いの妹・華蓮が夜妖人の親子と道でぶつかったのはまだ昼間の時間帯だったから、夜しか活動できない種族ではないはずだ。
なんとも気になる“夜妖人”の生態です…。
愛のない政略結婚
腹違いの姉や妹がいるヒロインが、その一方の姉や妹や継母から虐げられるという設定は、今や異世界ファンタジージャンルでは王道のフォーマットになっておりますが、
その例に漏れず本作のヒロイン・郁ちゃんも腹違いの妹と継母から酷い虐待に耐えながらの悲惨な生活を余儀なくさせられていました…(汗)
「この設定ばかりでうんざりだ…!」と暗に批判的な意見をぶつける読者がいるのはごもっともな意見ですが、
ただ…実際にそれ以上に物語が盛り上がる基本設定は一体どこにあるというのでしょう…?
もしあるならば迷わずどの作家さんや漫画家さんもその設定を使って作品を描いていることでしょう…。
姉妹や継母のイジメ設定意外に物語が面白くなる設定がないから王道設定が使われてしまうのです…。
世間は骨肉の争いがなによりも大好物なのだ!
「なのでこればっかりは仕方ない!」
ならばどこで他のよく似たフォーマットの作品と差別化を図るのか…?
もちろんしっかりと細部まで作り込んだ面白いシナリオがあることを大前提として、
やっぱり不遇なヒロインを地獄の環境から救い出すヒーローの存在がなによりも重要です。
本作に至っては原作がみやこ先生なので、他の作品とシナリオの差別化は全く問題なしとして、あとはヒーロー役ですが、
それも完璧でした!
名家の次期当主にして国家安定の重要な取り締まり機関である【陰陽寮特殊部隊】を率いる部隊長・桐島昴(きりしますばる)大尉。
それが『黒妖の花嫁』という作品の評価を左右するクールイケメン大尉の昴さまです。
本作1話の37ページのシーンで軍服に身を包んだ勇ましい姿の彼が登場してきた瞬間…宮之みやこ原作マンガイケメンヒーローランキングの1位が更新されました!
作画を担当された音中さわき先生が生み出された昴さまが間違いなくナンバーワンです!
イケメンの要素をかき集めて形にすると、昴さまが出来上がると断言していいくらい、ルックスも中身も完璧イケメンでございます…♪
「お前を花嫁として迎えに来た」
郁の夜妖人と話せる能力が欲しくて愛のない政略結婚をしようとする昴さまの郁に向けたプロ―ポーズの言葉。
1話では郁が継母と腹違いの妹に美しい白銀の髪をバッサリ切られそうなところを昴さまに助けられて、
その流れで突然のプロポーズを受ける場面で終了していますから、
こんなドラマチックなシーンで幕引きとなってそのまま2話を読まずにいられるわけもなし…。
まるで普通に次のページをめくるがごとく課金して2話を読み始めていたまるしーがいました…(笑)
余談ですが…
ちょっとした余談ですが…郁の腹違いの妹・華蓮が町でぶつかった狐タイプの夜妖人親子の娘さん。
郁が帯び飾りを返してあげたあの可愛い子狐少女の名前なんですけど、
名前は「ひなた」ちゃんと言うみたいです。
この情報…みやこ先生がご自身の活動報告で発信されていましたから多分間違いないはずです。
個人名が出てくると言うことは、今後もあの子狐夜妖人ちゃんは登場すること間違いなしですね…♪
もし間違えていたらすぐに訂正いたします。
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『黒妖の花嫁』の解説と感想ここで全部読めます♪
『黒妖の花嫁』を読んだ人におススメの作品
まるしーが大好きな宮之みやこ先生のオリジナル漫画原作の2作品です…♪
夜妖人(やようじん)と会話が出来る白雪のような髪と瞳を持つ姿の少女。
大和場帝國(やまとばていこく)屈指の名家、桐島家の次期当主、
郁の腹違いの妹
華蓮の婚約者。次期当主。
郁の父親の愛人で継母
桐島家の現当主。昴の祖父。